実家を相続したら|手続の期限と空き家の管理・売却
🎓 この記事の監修者
宮原 海斗
株式会社土地未来 代表取締役
宅地建物取引士
相続不動産の専門家。実家相続・空き家問題・相続税対策まで、お客様の最善の選択をサポート。
横田 大樹
株式会社土地未来 専務取締役
宅地建物取引士
相続不動産の売却・活用のスペシャリスト。遺産分割協議・相続登記・税金対策まで精通。
今後住む予定のない実家を相続することになり、どうしたらいいか悩んでいる人も多いと思います。
実家の相続では、財産や借入金の確認、期限のある手続、住まない間の管理を並行して進めます。空き家に関する税の特例は、建物の状態や利用状況、売却時期などで適用が変わるため、条件を確認して判断しましょう。
そこで本記事では、以下について詳しく解説します。
- 実家相続の流れ(相続人確認→相続放棄判断→遺産分割協議→相続登記→相続税申告)
- 住まない実家の管理と、固定資産税・売却時の税の特例
- 実家の状況・費用・ご家族の希望を整理し、活用や売却を比較する方法
必要な手続と確認先を整理する際の参考にしてください。

宮原海斗(株式会社土地未来 代表取締役)

横田大樹(株式会社土地未来)
1. 実家を相続する際の流れ
主な確認事項は次のとおりです。すべてを順番に終えるのではなく、各手続の期限を確認して並行して進めます。
- 相続人・遺言・財産と負債を確認
戸籍や遺言の有無を確認し、不動産、預貯金、借入金、保証債務などを整理します。不動産は登記、利用状況、管理費用、売却価格の目安も確認しましょう。 - 相続放棄は、自分のために相続が始まったと知った時から原則3か月以内
家庭裁判所への申述が必要です。家だけを放棄して預貯金を受け取るような選択はできません。調査をしても判断資料が揃わない場合は、期間内に熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります。財産の処分が判断に影響することもあるため、売却・解体の前に弁護士等へ相談してください。 - 必要に応じて遺産分割を協議
遺言の内容などを確認し、協議が必要な場合は相続人全員で分け方を決め、手続に使う協議書を作成します。未成年者や意思能力に問題のある方がいる場合などは、必要な代理・保護の手続も専門家へ確認しましょう。 - 相続財産の名義変更・相続登記
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。原則として、自分のために相続が開始したことと、その不動産の所有権を取得したことの両方を知った日から3年以内に申請します。正当な理由なく義務に違反すると、10万円以下の過料の対象となる場合があります。
2024年4月1日より前に取得を知った未登記の相続不動産は、原則2027年3月31日までが期限です。また、遺産分割が成立した場合は、その日から3年以内に分割内容に沿った登記をする義務もあります。詳しくは法務省の相続登記の案内をご確認ください(期限説明の確認日:2026年9月26日)。 - 相続税の申告・納付が必要か確認
原則として、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内が期限です。遺産全体と贈与財産等を確認して、基礎控除や特例の適用を判定します。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などは、税額が0でも申告が必要な場合があります。遺産分割が終わっていなくても期限は原則延びません。
相続税の基礎控除額
3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
計算例(税法上の法定相続人の数で計算)
相続放棄があっても、放棄がなかったものとして数えます。養子の算入人数には制限があるため、該当する場合は税理士に確認してください。
- 法定相続人が1人の場合:3,000万円 + 600万円 = 3,600万円
- 法定相続人が2人の場合:3,000万円 + 1,200万円 = 4,200万円
- 法定相続人が3人の場合:3,000万円 + 1,800万円 = 4,800万円
実家の相続でお困りではありませんか?
実家の管理・活用・売却について、現在の状況をお聞かせください。
相続放棄などの法律判断や税務は、内容に応じた専門家への確認が必要です。
2. 住まない実家で確認したい管理と税金
空き家は適切に管理し、税の特例については対象となる条件と期限を確認することが大切です。
確認① 管理不全の空き家への措置
管理が行き届かず、そのままでは特定空家等になるおそれのある空き家は「管理不全空家等」として指導・勧告の対象になります。空き家になっただけで、直ちに税の特例が外れるわけではありません。
「特定空家等」は、法令上、次のような状態にある空き家をいいます。所在地の自治体に、管理状況と必要な対応を確認しましょう。
- 倒壊等の著しい保安上の危険、または著しい衛生上の有害が生じるおそれがある
- 適切な管理が行われず、著しく景観を損なっている
- 周辺の生活環境を保全するため、放置することが不適切な状態にある
管理不全空家等・特定空家等について市区町村長の勧告を受けた敷地は、住宅用地の特例の対象から外れます。小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡まで)の課税標準は、固定資産税が原則価格の6分の1、都市計画税が3分の1です。ただし、これは土地の課税標準の特例であり、実際の税額や土地・建物の税額合計が一律に6倍・3倍になるという意味ではありません。
確認② 相続した空き家の譲渡所得の特例
一定の条件に合う相続した空き家や敷地の売却では、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。税額から3,000万円を差し引く制度ではありません。2024年以後の譲渡で、対象の家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上の場合は、上限が2,000万円となります。
対象家屋の建築時期(1981年5月31日以前)、区分所有建物ではないこと、被相続人の居住状況、相続後の利用状況、耐震性または取壊しなど、複数の要件があります。売却代金1億円以下の判定には、他の相続人の売却分等を合算する場合があります。
売却期限は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、現行の制度は2027年12月31日までの譲渡が対象です。両方の期限を満たす必要があり、期限内なら誰でも使える制度ではありません。
2024年以後の譲渡には、売却した年の翌年2月15日までに耐震改修や取壊しを行う方法もあります。買主による工事を予定する場合の契約条件、自治体の確認書、確定申告に必要な資料を、契約前に不動産会社・税理士・自治体へ確認してください。
空き家を保有する間の費用と管理
- 固定資産税・都市計画税、保険、管理や修繕の費用を確認する
- 建物の状態と周辺の取引相場を確認する
- 草取り、植木の手入れなど維持の手間とコストがかかる
- 不法侵入、害虫、悪臭、倒壊などの危険や近隣への影響を防ぐ
市場価格が3,000万円という情報だけでは、固定資産税額は計算できません。土地と建物それぞれの評価額・課税標準額、特例や軽減の適用を納税通知書で確認し、管理・修繕費とあわせて見積もりましょう。
3. 相続した実家に住まない場合はどうする?
住まない場合にも、管理を続ける、貸す、修繕して使う、売却する、解体して土地を使うなどの選択肢があります。以下では、解体と売却を検討するときの確認点を紹介します。
対処法① 空き家を更地にする
空き家を解体して更地にする
解体すると建物の維持管理は不要になりますが、土地の草刈り、防犯、境界の管理などは引き続き必要です。
⚠️ 注意点・デメリット
- • 解体費用は構造・広さ・立地・アスベスト等の調査結果によって異なるため、工事範囲と見積りを確認する
- • 住宅用地の特例が外れると土地の税負担が増える場合があるため、解体前に税額への影響を確認する
固定資産税・都市計画税は原則として毎年1月1日の状況で判定されます。住宅を取り壊した土地は原則、住宅用地の特例の対象外になりますが、一定の建替え等には例外があります。家屋分の課税の終了時期と土地の税額を、所在地の税務窓口へ確認しましょう。
老朽化の危険、修繕の可能性、解体費、解体後の用途、売却条件をあわせて検討します。相続放棄を検討している場合は、先に法律相談を行ってください。
✅ 更地活用のアイデア
- • 駐車場にする
- • 借地にする
- • 資材置き場として貸し出す
土地の用途地域、農地等の規制、接道、近隣への影響、整備費と収支を確認し、実際に利用できる方法を検討しましょう。
対処法② 空き家の売却を検討する
活用の予定と売却条件を比較する
利用予定がない場合、売却は管理や費用負担を整理する選択肢です。家族の意向、物件の状態、手取りの見込みを確認し、保有・賃貸等と比較して決めましょう。
✅ 空き家を売却するメリット
- • 所有・管理を引き継ぐことで、将来の維持負担を整理できる(その年の税の納付義務や契約上の精算は確認)
- • 売却益が出る可能性がある
- • 条件を満たせば空き家の譲渡所得の特例を検討できる(適用要件・上限額・期限の確認が必要)
- • 物件の状態や管理上の課題を買主へ説明し、契約条件を整理できる
- • 管理の手間から解放される
売却を急いで決める前に、家族の意向と必要な手続を確認します。検討中も、通風、雨漏りの点検、庭木の管理など、状況に応じた管理を続けましょう。
価格だけでなく、手取り、引渡し時期、残置物、契約上の責任を比べて判断してください。
実家の売却を検討している方へ
適用できる税の特例や期限は、相続日・建物・利用状況などによって異なります。
売却価格の目安と必要な準備を、早めに整理しましょう。
4. ✔ 実家の相続でまずやるべきこと
まずは「期限・財産・管理状況」を整理する
不動産の価値だけで結論を出さず、次の点をあわせて確認しましょう。
- • 相続人、遺言、財産と負債の内容
- • 相続放棄・登記・税務等の期限
- • 家の状態、管理費用、活用や売却の見込み
- • ご家族の希望と、専門家への相談が必要な点
不動産会社の査定額は、売却を検討するための目安です。相続税評価額とは異なり、成約価格を保証するものでもありません。
資料が揃っていなくても、所在地や分かる範囲の状況を伝え、不足している確認事項を整理できます。
期限のある手続を、査定より先に確認する
相続放棄や申告の期限が迫っている場合は、不動産の査定結果を待たず、弁護士や税理士等へ相談しましょう。
相続するかどうかは、不動産の価値だけでなく、負債、他の財産、管理の負担なども含めて判断します。
不動産の売却・活用に関する相談と、法律・税務の判断を分け、必要な確認を並行して進めてください。
さらに、もし相続した不動産を売却する場合
空き家の特例は、売却期限と適用条件の両方を確認
売却には、相続人間の合意、登記、物件調査、買主との条件調整などに時間がかかることがあります。
相続日から計算する期限と制度の適用期限を確認し、工事や確認書・申告資料の準備も含めて日程を検討します。適用できるか不明なまま解体や契約を進めず、税理士等へ確認しましょう。
補足:売り時は、物件と生活の事情から考える
一律に「今が売り時」とは言い切れません
不動産の需要や価格は、地域、用途、建物の状態、接道などによって異なります。ニュースの市況だけで、自分の物件も高く売れるとは判断できません。
近隣の成約事例、販売中の物件、査定の根拠を確認し、保有にかかる費用や売却の手取りと比較しましょう。
住まいの希望、管理の負担、手続の期限に合う進め方を検討することが大切です。
まとめ:実家相続は期限と状況の整理から
✅ この記事のポイント
- 手続の期限を確認する
相続放棄は自分のために相続が始まったと知った時から原則3か月。相続税の申告・納付は死亡を知った日の翌日から原則10か月。相続登記の期限もあわせて確認します。 - 管理と税の条件を確認する
空き家の管理、自治体の指導・勧告への対応、住宅用地の特例、売却時の控除の適用要件を確認します。 - 住まない実家の選択肢を比べる
保有・賃貸・修繕・解体・売却について、管理費、工事費、税金、手取りと家族の希望を比較します。 - 確認先を分ける
相続人・財産と負債を整理し、法律は弁護士、登記は司法書士、税金は税理士へ。不動産会社には管理・活用・売却を相談します。 - 市況を決めつけない
物件ごとの取引事例や条件を確認し、査定額だけでなく根拠と進め方を比べます。
⚠️ 家を放置するコスト
- 税金・維持費:納税通知書と管理・修繕の見積りで確認
- 建物の状態:劣化や雨漏り、防犯、近隣への影響を点検
- 管理不全空家等・特定空家等:勧告を受けた敷地は住宅用地特例の対象外
- 空き家の譲渡所得の特例:相続日からの期限、制度の期限、物件等の要件を確認
できる限り早く、家をどうするか話し合いましょう。
実家の相続でお困りなら、株式会社土地未来へ
土地未来では、東京都内を中心に相続した土地や建物の管理・活用・売却のご相談を承っています。
遺産分割等の法律判断、登記、税務は、それぞれの専門家に確認しながら進めましょう。
📍 株式会社土地未来
宅地建物取引士が対応いたします
受付時間: 平日 9:00〜18:00(土日祝も対応可)
期限がある手続は、物件の査定と並行して専門家へ確認しましょう
