
高齢の家族の財産を守るには、詐欺の手口を知ることと、迷ったときに相談できる備えの両方が大切です。特殊詐欺は電話だけでなく、SMSやSNSなどを通じても起こります。この記事では、家族で確認したい手口と日常の対策、被害が疑われるときの相談先を紹介します。

宮原海斗(株式会社土地未来 代表取締役)

横田大樹(株式会社土地未来)
目次
- 家族で知っておきたい「特殊詐欺」とは
- 特殊詐欺の種類と主な手口
- 今日からできる特殊詐欺対策
- まとめ・被害が疑われるときの相談先
家族で知っておきたい「特殊詐欺」とは
特殊詐欺には、電話やSNSなどで相手を信用させ、振込みや現金の受渡し、キャッシュカードの取得などによって財産を奪う手口があります。高齢者だけの問題ではなく、幅広い年代で被害が起きています。2026年から警察庁は、ニセ警察詐欺を独立した手口とし、SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺も特殊詐欺に含めて整理しています。
特殊詐欺の種類と主な手口
2026年の警察庁の分類にある手口は、次のとおりです。ここでの番号は記事内の整理用で、被害の多さや危険度の順ではありません。
- 1.オレオレ詐欺
- 2.預貯金詐欺
- 3.架空料金請求詐欺
- 4.還付金詐欺
- 5.融資保証金詐欺
- 6.金融商品詐欺
- 7.ギャンブル詐欺
- 8.交際あっせん詐欺
- 9.その他の特殊詐欺
- 10.キャッシュカード詐欺盗(窃盗)
- 11.ニセ警察詐欺
- 12.SNS型投資詐欺
- 13.SNS型ロマンス詐欺
振込み以外に、現金やカードを直接受け取る手口もあります。「振り込んでいないから大丈夫」と考えず、何を求められているかに注意しましょう。以下では主な手口を紹介します。
オレオレ詐欺
子や孫などの親族を装い、仕事の失敗や事件・事故などでお金が必要だと信じ込ませる手口です。振込みを求めるだけでなく、代理人を名乗る人物が現金を受け取りに来る場合もあります。電話を切り、以前から知っている家族の番号で確認しましょう。
預貯金詐欺
警察官や銀行関係者などを装い、口座の不正利用やカード交換を口実に、キャッシュカードや通帳などをだまし取る手口です。暗証番号を伝えたり、訪問者へカードを渡したりせず、いったん連絡を止めて公式の窓口に確認してください。
架空料金請求詐欺
利用していないサービスなどの支払いを求め、不安をあおって金銭をだまし取る手口です。電話・SMS・メールなどが入口となり、振込み以外に電子マネーの購入や番号の送信を求められる場合もあります。記載された連絡先にそのまま連絡せず、公式の窓口や消費生活センターに確認します。
還付金詐欺
自治体などを装い、税金・医療費・保険料などが戻ると言って、ATMで送金操作をさせる手口です。還付金を受け取るために、電話の指示に従ってATMで振り込む手続きはありません。操作を止め、家族や金融機関の職員などに相談してください。
融資保証金詐欺
融資する意思がないのに借入れができると信じ込ませ、保証金などの名目で先にお金を支払わせる手口です。融資を受ける前に振込みを急がされたら、その場で支払わず相談しましょう。
ニセ警察詐欺
警察官などを名乗り、捜査や資金調査のためとして送金などを求める手口です。電話番号や警察手帳・逮捕状の画像を見せられても信用せず、いったん電話を切って警察相談専用電話「#9110」などに確認してください。相手に教えられた番号へは折り返さないでください。
SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺
SNSなどで投資を勧めて資金をだまし取る手口や、やり取りを重ねて恋愛感情・親近感を持たせ、お金を求める手口です。会ったことのない相手から送金を勧められたら、その場で支払わず、家族や警察などに相談しましょう。
今日からできる特殊詐欺対策
日頃から家族で連絡先や確認方法を共有し、お金の話をその場で決めないようにしましょう。「不安なら電話を切って相談してよい」と伝え、相談しやすい関係をつくることも大切です。
「自分や自分の家族は大丈夫」という思い込みを捨てる
手口を知っていても、急がされたり不安にさせられたりすると判断が難しくなることがあります。年齢だけで安全・危険を決めず、送金やカードの受渡しを求められたら一度止まり、家族や警察などに確認する手順を決めておきましょう。
在宅時でも留守番電話の設定をしておく
在宅中も留守番電話や自動録音を利用し、すぐに相手と話さず用件を確認する方法があります。ただし、メッセージが残っているだけで本物と判断せず、折り返すときは自分で確認した連絡先を使ってください。
知らない番号からの電話には出ない
番号表示、非通知拒否、自動警告・録音などの機能を活用する方法があります。ただし、実在する警察署などの番号を偽装して表示する手口もあるため、表示番号だけで相手を信用しないでください。利用できる機能や料金は契約先に確認しましょう。
特殊詐欺・振り込め詐欺の常套句を電話横に貼っておく
よく使われる言葉を知っておくと、不審な連絡に気づくきっかけになります。次のような話が出たらいったん電話を切り、家族や公式の相談先に確認しましょう。この例に当てはまらない連絡でも、安全とは限りません。
- 携帯電話を落として電話番号が変わった
- 会社の電話でかけているからこの番号をメモしておいて
- (会社の)小切手を紛失して困っている(クビになる)
- 会社の金を横領した
- 誰にも言わないでほしい
- 今すぐ金が必要
- (年金、医療費などの)還付金がある
- キャッシュカードを預かる
- 暗証番号を教えてほしい
お金やカードを求める連絡は、急いで対応せず、いったん止めて確認することが大切です。家族の連絡先と相談窓口を電話の近くに置き、誰でも使えるようにしておきましょう。
まとめ・被害が疑われるときの相談先
不審なお金の話は一人で判断せず、送金・カードの受渡し・暗証番号の伝達を止めて確認しましょう。すでに支払った場合も、追加の支払いに応じず、早めに相談することが大切です。
- 緊急の事件・危険があるとき:110番。緊急ではない警察への相談は、警察相談専用電話「#9110」または最寄りの警察署へ。
- お金を振り込んでしまったとき:警察と振込先の金融機関へ速やかに連絡してください。キャッシュカードや暗証番号を渡した場合は、カードの発行元金融機関にも連絡し、利用停止などを相談します。
- 契約・請求などの消費者トラブル:188。消費者ホットラインは、地域の消費生活センター等の相談窓口につながります。
振り込め詐欺救済法による被害回復分配金を受け取れる場合がありますが、振込先口座に残る資金などの条件があり、全額返金が保証される制度ではありません。詳しくは金融機関などに確認してください。
