相続した土地の価格・相続税評価額の調べ方と計算方法
宅地の評価方法、相続税計算の流れ、特例・控除の確認点
親が亡くなり、実家や田畑などの土地を相続することになった際、多くの人が「この土地の価値は一体いくらなのだろうか」「相続税はどのくらいかかるのだろうか」という疑問や不安に直面します。
土地の価格は、普段の生活ではあまり意識することがないため、いざ相続となると、その評価方法や税金の計算方法が分からず戸惑うのは当然のことです。
特に相続税の計算は、土地の評価が大きく影響するため、その仕組みを正しく理解しておくことが非常に重要になります。
この記事で分かること
- 相続した土地の「相続税評価額」の調べ方・計算方法
- 路線価方式と倍率方式の具体的な計算手順
- 相続税額を計算する際の基本的な流れ
- 評価額を減額できる要素(小規模宅地等の特例など)
- 税額軽減・控除の主な条件
この記事は、相談前に資料と確認事項を整理するための一般的な案内です。個別の税務評価・申告は、相続開始時の制度と実際の資料を基に税理士へ確認してください。
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株式会社土地未来は、東京都内を中心に、相続した土地・建物の売却・買取・活用のご相談に対応しています。税務上の評価や申告は税理士の担当分野です。

宮原海斗(株式会社土地未来 代表取締役)

横田大樹(株式会社土地未来)
目次
土地の評価額とは
土地には、取引価格、公示地価、基準地価、税務上の評価額など、目的や基準日が異なる価格があります。「一物四価」「一物五価」と呼ばれますが、すべての土地に各価格が個別に公表されているわけではありません。
目的が異なる主な価格指標
実勢価格(時価)
実際に市場で取引される価格
物件と取引条件によって変わる
公示地価
国土交通省土地鑑定委員会が公示する標準地の正常な価格
毎年1月1日時点
基準地価
都道府県が公表する基準地の標準価格
毎年7月1日時点
相続税評価額
相続税・贈与税の計算に用いる評価額
地目・利用状況・権利関係を反映
← 相続時に重要
固定資産税評価額
市町村等が固定資産税のために決定する評価額
課税標準額とは区別する
相続税評価額とは
相続税の計算では、相続開始時の地目・利用状況・権利関係などに応じて土地を評価します。売却査定額や、遺産分割で話し合う価格と同じとは限りません。
路線価等の評価基準と市場の取引価格は、目的や時点、個別条件が異なります。「実際に売れる価格の8割が相続税評価額」「7割が固定資産税評価額」と一律に換算することはできません。
相続では、財産と相続人、登記・税務の期限などを並行して確認します。土地評価だけで手続き全体や申告の要否が決まるものではありません。
路線価による相続税評価額の計算方法
ここでは宅地の基本となる「路線価方式」と「倍率方式」を説明します。農地・山林などは地目や区分に応じた評価が必要で、すべての土地を同じ式で評価するわけではありません。
路線価方式とは
路線価が設定されている地域の宅地を評価する方法です。単に市街地か郊外かで決めず、対象地の所在地と地目に対応する評価基準を確認します。
路線価とは、その道路に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額を千円単位で示したもので、国税庁が毎年7月頃に公表します。
路線価の調べ方
路線価は、国税庁のウェブサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で誰でも確認することができます。
相続開始年の路線価図を選び、対象地の路線価、地区区分、実際の地積などを確認します。路線価に必要な補正・加算を反映してから面積を掛けます。
計算式
計算例
【例】路線価が「300D」の道路に面した200㎡の土地
条件:
- 路線価:300D(300,000円/㎡)
- 土地面積:200㎡
※アルファベットの「D」は借地権割合を示します(自用地評価では使用しません)
計算:
300,000円/㎡ × 200㎡ = 60,000,000円
補正計算について
上の例は、必要な補正率がすべて1.0で、側方路線影響加算など他の調整がない自用地と仮定したものです。長方形・正方形でも、この前提が自動的に成り立つわけではありません。
奥行き、間口、形状、接する道路などを確認し、地区区分に応じた補正や加算を行います。条件によって価額が下がる場合も上がる場合もあるため、減額だけを前提にしないようにしましょう。
この補正計算は複雑なため、正確な評価額を知りたい場合は専門家である税理士に相談することをおすすめします。
評価倍率による相続税評価額の計算方法
倍率方式とは
倍率方式は、路線価が定められていない地域の宅地などに用いる方法です。農地や山林は区分別の評価もあるため、「郊外なら固定資産税評価額に倍率を掛けるだけ」とは判断できません。
宅地の基本は、相続開始年の固定資産税評価額に、所在地・地目に対応する評価倍率を掛ける方法です。固定資産税の課税標準額や税額と取り違えないようにします。
計算式
必要な情報の調べ方
固定資産税評価額の確認方法
固定資産税の課税明細書や評価証明書などで、相続開始年の「価格(評価額)」を確認します。通知時期や様式は自治体によって異なります。資料がない場合は、物件所在地の市町村や都税事務所などへ確認しましょう。
評価倍率の確認方法
国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、相続開始年、所在地、地目に対応する欄を確認します。最新年の資料を過去の相続にそのまま使わないようにしてください。
計算例
【例】固定資産税評価額2,000万円、評価倍率1.1の宅地
条件:
- 相続開始年の固定資産税評価額:2,000万円(課税標準額ではない)
- 評価倍率:1.1(評価倍率表に「宅地 1.1」と記載)
計算:
2,000万円 × 1.1 = 2,200万円
ポイント
対象年の評価基準と地目・利用状況を確認することが基本です。貸付けや借地権、地積規模などによる調整が必要な場合は、単純な計算例だけで評価額を確定しないようにします。
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当社では、相続した不動産の売却・買取・活用についてご相談を承ります。相続税評価額の算定や申告、特例の適用については、資料をそろえて税理士へご確認ください。
相続税を算出する際の手順
相続税は、土地だけでなく他の財産、非課税財産、債務・葬式費用、生前贈与などを反映して計算します。以下の流れは概要で、最後に各人の加算・税額控除等も確認します。
遺産総額を算出する
財産を取得した人ごとに、相続・遺贈による財産や死亡保険金などを整理します。非課税となる財産、控除できる債務・葬式費用、相続時精算課税の財産、暦年課税の贈与加算などを確認して、各人の課税価格を計算し、合計します。
プラスの財産
- 土地(今回評価額を算出したもの)
- 建物
- 預貯金
- 株式などの有価証券
- 死亡保険金など(保険料負担者・受取人や非課税枠の条件を確認)
- 自動車
- その他の財産
マイナスの財産(債務)
- 借入金
- 未払金
- 住宅ローン(団体信用生命保険等で返済が不要となる部分は控除しない)
- その他の確実な債務。葬式費用も一定の範囲で別途控除できるが、墓地・墓石、香典返し、法要費用などは対象外
課税遺産総額を算出する
各人の課税価格を合計した正味の遺産額から、基礎控除額を差し引きます。法定相続人の数は、相続放棄があっても放棄がなかったものとして数え、養子には算入人数の制限があるなど税務上のルールを確認します。
基礎控除額の計算式
計算例
法定相続人が配偶者と子供2人の合計3人の場合
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円
この例で正味の遺産額が4,800万円以下なら、原則として相続税はかからず申告も不要です。ただし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使って税額がなくなる場合などは、適用に必要な申告があるため区別してください。
課税遺産総額
遺産額が基礎控除額を超える場合、その超えた部分が課税対象となります。
法定相続分から相続税の総額を算出する
課税遺産総額が確定したら、次に「相続税の総額」を計算します。
重要ポイント
ここでのポイントは、実際の遺産分割の内容はいったん無視して、課税遺産総額を法律で定められた「法定相続分」の割合で各相続人が取得したと仮定して計算を進める点です。
法定相続分に応じた取得金額ごとに、下表の税率を掛けて控除額を差し引きます。その税額を合計して「相続税の総額」を求めます。遺産全体に1つの税率を直接掛ける計算ではありません。
相続税の速算表
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | – |
| 1,000万円超~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超~1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税の総額を計算する段階では法定相続分を用いますが、実際の納付税額は財産の取得割合や各人の控除・加算等によって変わります。
取得した割合に応じてそれぞれの相続税額を算出する
相続税の総額を、財産を取得した各人の「課税価格」が全体に占める割合で割り振ります。単なる財産の額面や現金の分配割合とは異なる場合があります。
計算例
相続税の総額が500万円で、課税価格の合計に占める割合が配偶者60%・子40%と仮定した場合(加算・税額控除等の前)
配偶者:500万円 × 60% = 300万円
子供:500万円 × 40% = 200万円
例の300万円・200万円は、各人の加算・税額控除等を反映する前の金額です。対象者には税額の2割加算があり、配偶者の税額軽減などを適用して、最終的な納付税額を計算します。
相続税評価額が減額する要素
権利関係による土地評価の調整と、小規模宅地等の特例による課税価格の減額は、仕組みが異なります。土地を借りる権利そのものの評価も区別して確認します。
以下は主な例です。面積や用途だけで適用を決めず、相続開始時の実態と各制度の要件を確認してください。
貸家建付地
貸家建付地とは
自己所有の土地にある自己所有の建物を第三者へ貸し付けている場合など、その敷地は貸家建付地として評価します。土地だけを他人に貸している貸宅地や、土地を借りている借地権とは異なります。
基本式は「自用地としての価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)」です。賃貸割合は戸数だけでなく独立部分の床面積等で判定し、空室の扱いも実態に応じて確認します。
小規模宅地等の特例
用途・取得者などの条件に応じた減額
小規模宅地等の特例は、一定の事業用・居住用宅地等の課税価格を、限度面積まで減額する制度です。税額そのものが同じ割合で減る制度ではありません。
代表例として、特定居住用宅地等は330㎡まで80%、特定事業用宅地等は400㎡まで80%、貸付事業用宅地等は200㎡まで50%の減額です。取得者や保有・居住・事業継続などの要件があり、併用時には限度面積の調整も確認します。
減額効果の例
特例適用前の評価額1億円の宅地全体(330㎡以下)が、特定居住用宅地等の要件を満たすと仮定した場合
1億円 ×(1 − 80%)= 2,000万円を課税価格に算入
注意点
特例の適用には所定の書類を添えた相続税申告が必要です。減額後に基礎控除以下となる場合も、申告を省略しないようにしてください。取得する人や分割・保有等の条件を税理士へ確認しましょう。
借地権
借地権は、建物所有を目的とする地上権や土地の賃借権です。土地を所有する人の評価を単純に減らす項目ではなく、借りている人が持つ権利として相続税の課税対象になります。
普通借地権の基本は、自用地としての価額に、路線価図や評価倍率表の借地権割合を掛ける評価です。定期借地権等は、経済的利益や残存期間などを基に評価するため、契約内容と権利の種類を確認します。
私道
私道は実際の利用状況で評価が異なります。自分の宅地に通じる専用の路地状敷地は、私道の30%評価を一律に使わず、隣接する宅地と一体で評価する場合があります。
- 公共の用に供される私道(不特定多数が自由に通行):評価額0円
- 特定の者の通行の用に供する私道:私道でないものとして評価した価額の30%。倍率方式では私道であることを考慮した固定資産税評価額をそのまま使わない
地積規模の大きな宅地
一定の規模の宅地には「地積規模の大きな宅地の評価」があります。面積の基準は、制度で定める三大都市圏で500㎡以上、それ以外で1,000㎡以上ですが、面積だけで適用できるものではありません。
用途地域、市街化調整区域の扱い、指定容積率などによる除外を確認します。路線価地域では対象となる地区区分が限られ、倍率地域では比較計算を行うなど、評価方法にも違いがあります。
小規模宅地等の特例を活用できるか知りたい方へ
小規模宅地等の特例の適用判断や税務相談は税理士へご確認ください。当社では、相続した不動産の売却・買取・活用について、現在の状況やご希望を伺います。
相続時に役立つ控除
相続税の計算手順の最終段階では、各相続人の状況に応じて、算出された税額から直接差し引くことができる各種「税額控除」が用意されています。
控除等は、財産を取得した人の年齢・続柄・住所・過去の適用状況などにより異なります。使える制度と計算順序を確認しましょう。
配偶者の税額軽減
正式名称:配偶者の税額軽減
亡くなった方の配偶者が遺産を相続した場合、取得した遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは、相続税がかかりません。
この控除を適用するためには、相続税の申告が必要です。
未成年者控除
相続・遺贈で財産を取得した時に18歳未満の法定相続人で、住所・国籍等の要件を満たす場合の制度です。年齢だけで判断しないようにします。
控除額:
満18歳までの年数(1年未満の端数は切上げ)×10万円。過去に適用を受けた場合は控除額が制限されることがあります。
※2022年4月1日の民法改正により、成人年齢が18歳に引き下げられました。
障がい者控除
相続・遺贈で財産を取得した時に85歳未満の障害者である法定相続人が対象です。国内住所などの要件、障害の区分、過去の適用状況も確認します。
控除額:
- 一般障害者:満85歳までの年数(1年未満の端数は切上げ)×10万円
- 特別障害者:満85歳までの年数(1年未満の端数は切上げ)×20万円。本人から控除しきれない額は、扶養義務者の相続税額から控除できる場合があります。
贈与税額控除
暦年課税の贈与加算は、被相続人から相続等で財産を取得した人などが対象です。2026年12月31日までに開始した相続は原則として開始前3年以内、2027〜2030年の相続は2024年1月1日から死亡日まで、2031年以降は開始前7年以内が対象となります。加算の例外や、3年を超える部分の総額100万円の控除なども確認します。
加算対象の贈与財産に対応する贈与税額は、一定の方法で相続税から控除します。支払った贈与税をすべて無条件で控除する制度ではありません。相続時精算課税の計算とは区別します。
相次相続控除
今回の相続開始前10年以内の相続等で、被相続人が財産を取得し相続税を課されていた場合に、その人から財産を取得した相続人が一定額を控除できる制度です。単に相続が続いたことだけでは適用できません。
例えば、父の相続で母に相続税が課され、その後10年以内に母が亡くなって子が相続する場合などに確認します。母の前回の税額が配偶者の税額軽減でゼロだった場合などは、同じ結果になりません。
前回の税額、取得した純資産価額、経過年数などを使って計算します。相続放棄した人などは対象外となるため、過去の申告書を用意して税理士へ確認しましょう。
土地相続価格の算出方法を知ると適切な財産評価ができる
この記事のまとめ
- 土地の評価額には5つの指標がある
取引価格・公的価格・税務評価は目的や時点が異なり、一律の割合で換算できない
- 評価方法は2種類
宅地は所在地の評価基準に応じて路線価方式・倍率方式を用い、地目や権利の違いも確認
- 相続税の計算は4ステップ
①各人の課税価格を計算・合計 → ②基礎控除差引 → ③法定相続分で総額計算 → ④各人へ配分し加算・控除等を反映
- 評価額を減額できる特例がある
小規模宅地等の特例は用途・取得者等の条件と限度面積を確認し、必要書類を添えて申告
- 各種控除で税額をさらに軽減
配偶者の税額軽減は1億6,000万円と法定相続分相当額のいずれか多い金額まで。1億6,000万円が一律の上限ではない
- 専門家への相談が重要
土地評価・特例・税額計算は、資料を基に税理士へ確認。売却査定とは区別する
土地の相続税評価は、売れる価格を求める査定とは別のものです。相続開始年の資料を使い、地目、利用状況、権利関係、必要な補正を確認します。
相続税の計算では、土地だけでなく他の財産や債務、生前贈与等も反映します。課税価格の計算、基礎控除、法定相続分による総額計算、各人への配分と加算・控除等の順に確認しましょう。
小規模宅地等の特例による課税価格の減額と、配偶者の税額軽減などの税額調整は区別します。税額がゼロになる場合でも、制度によって申告が必要です。
専門家への相談をおすすめします
しかし、土地の評価には不整形地の補正計算など専門的な判断が必要な場面が多く、各種特例や控除の適用要件も複雑です。
評価や申告に不明点があれば、税理士へ資料を示して相談してください。売却や活用も検討する場合は、不動産会社の査定や費用の見込みと合わせて、必要な資金・日程を整理しましょう。
申告と納税の期限、登記、遺産分割の進め方は別々に確認し、ご家族の意向も踏まえて進めてください。
この記事の監修者
宮原 海斗
株式会社土地未来 代表取締役
宅地建物取引士
相続した不動産の売却・買取・活用についてご相談を承ります。税務上の評価・申告は税理士の担当分野です。
横田 大樹
株式会社土地未来 専務取締役
宅地建物取引士
相続した土地・建物のお悩みをお聞かせください。税額や特例の適用については税理士へご確認ください。
相続した土地の評価・売却なら、株式会社土地未来へ
株式会社土地未来は、東京都内を中心に、相続した不動産の売却・買取・活用のご相談に対応しています。税務上の評価・申告・特例の適用は税理士へ確認しながら、ご事情に合う進め方を検討しましょう。
確認日と参考資料
制度情報の確認日:2026年9月27日。公表資料に基づく一般的な説明です。個別の評価・申告・特例の適用は、相続開始時の制度と資料を基に税理士へご確認ください。


