②不動産売却

古い家は解体してから売る?現況で売る?判断に必要な見積もり

トップ画像はイメージです。実在の物件・資料ではありません。

TOCHI MIRAI COLUMN / 古い家の売却

古い家は、壊してから売る?
現況で売る?まず比べたいこと

古い家を見ると「更地にしたほうが売れそう」と考えがちです。しかし、解体費をかけても、その分だけ売却条件がよくなるとは限りません。建物を残す選択肢、解体後の利用条件、売却までの費用を比べてから、工事の必要性を判断しましょう。

監修者
宮原海斗

宮原海斗(株式会社土地未来 代表取締役)

横田大樹

横田大樹(株式会社土地未来)

01解体するかどうかは、売り方とセットで考える

古い建物がある土地の売却では、建物を使いたい買主、改修して使いたい買主、建て替えたい買主など、想定する相手によって必要な準備が変わります。建物の古さだけで価値や需要を決めず、状態、立地、道路、利用できる範囲を確認することが出発点です。

建物を残して売る案、更地にして売る案、買主と解体の条件を決めて売る案などを並べ、費用と役割を比べましょう。「古家付き土地」という表示だけで、建物を誰が取り壊すか、残置物をどう扱うかまで決まるわけではありません。

現況で売る案

売主が先に解体費を出さずに検討でき、建物を使う選択肢も残せます。一方、建物や家財の状態、買主の工事負担が価格や条件に影響する場合があります。

解体して売る案

土地の形や広さを確認しやすくなります。ただし、工事費が先に発生し、解体後も税金や管理費がかかります。建物を利用する選択肢は失われます。

迷ったら、まず同じ相談先に両方の案を出してもらい、さらに必要に応じて他の提案も比較します。現況を見ないままの一般論ではなく、対象物件の条件がどのように価格や販売方法に影響するかを聞くことが大切です。

02解体の前に確認したい4つの条件

1.道路と建て替えの条件

現在建物があることだけで、同じように建て替えられるとは限りません。敷地が接する道路の扱い、接道の状況、用途や規模に関する制限などを確認します。再建築の可否や計画の適否は、現地写真だけで判断せず、管轄の建築担当窓口や建築士等に確認してください。

2.建物の使い方と状態

築年数に加えて、雨漏り、傾き、設備、修繕履歴、図面の有無などを整理します。実際に使うためにどんな調査や工事が必要かを知れば、現況での売却と解体の比較がしやすくなります。見た目を整える工事だけを先に行っても、買主が必要とする工事と一致するとは限りません。

3.解体後の税負担

住宅を取り壊すと、土地に適用されていた住宅用地の特例などの扱いが変わる場合があります。建て替え等の条件により取扱いが異なるため、取り壊す時期と予定する利用方法を示して、固定資産税の担当窓口へ確認します。「必ず税額が何倍になる」と一律に計算しないようにしましょう。

4.権利関係と家族の合意

建物・土地の名義、共有、相続手続き、賃貸中かどうかなどを確認します。建物の所有者と土地の所有者が異なる場合や、他の人の利用・所有物が関係する場合は、工事を進める前に必要な合意や手続きを整理します。

解体は元に戻せません
売却の見通し、建て替えの条件、権利関係を確認してから工事を判断します。「とりあえず壊して、その後で売り方を考える」という順序は避けましょう。

03解体見積もりは、総額と工事範囲を一緒に比べる

解体費は建物の面積だけで決まるものではありません。構造、敷地への車両の入りやすさ、隣地との距離、付属物、処分する物の種類などで内容が変わります。複数の見積もりを比較するときは、同じ作業範囲になっているかを先に確認しましょう。

解体見積もりで確認する項目(スマートフォンでは横にスクロールできます)
項目具体的に確認したい内容
建物本体対象となる建物、構造、面積、基礎の扱い
付属物塀、門、庭木、物置、カーポートなどの撤去範囲
家財・設備家具や家電の処分を工事費に含むか、別途手配か
調査・届出石綿等の調査、必要な届出、担当と費用
現場の管理養生、近隣への説明、車両動線、作業時間
地中のもの埋設物等が見つかった場合の連絡と追加費用
仕上げ・引渡し整地の程度、残す物、完了確認、受け取る資料

追加費用の決め方まで聞く

地中の状況など、事前に分からない部分は見積書に含まれないことがあります。追加工事が必要になった場合、写真や説明を受けてから承認できるか、見積もりを出してもらえるかを決めておきます。総額が安く見える提案でも、除外項目が多いと比較できません。

環境省は、解体・改修工事に伴う石綿の事前調査について案内しています。建物の古さや外観だけで「使われていない」と判断せず、調査と結果の説明を受けてください。調査費用と、該当する建材が見つかった場合の対応費用も区別して確認します。

04「現況」と「更地」の手取りを比べる

比較するときは、売却できそうな価格だけでなく、売主が負担する支出を一覧にします。見込価格が高い案でも、解体や測量、家財処分の費用を差し引くと、手元に残る額が増えないことがあります。

売り方を比較するための整理表(スマートフォンでは横にスクロールできます)
比べるもの現況で売る案解体して売る案
価格の見通し現況と買主負担を前提にした査定解体後の状態を前提にした査定
先に支払う費用必要な片付け・調査等解体、調査、処分、整地等
売却までの期間現況に合う買主を探す期間調査・工事の期間と、その後の販売期間
保有中の負担税金、保険、建物・敷地の管理税負担の変化、草刈り、敷地の管理
選択肢建物を使う検討も残る建物利用の選択肢はなくなる

比較の基本式
売却代金の見通し − 売主が負担する費用 − 売却までの保有費用
ローン返済や税金なども含め、最終的に必要な項目を追加して比較します。未確定の費用はゼロとせず、別枠に残します。

例えば、解体後の見込価格が現況より高くても、その差額が解体費と保有費を下回るなら、金額面だけでは有利とはいえません。一方で、敷地が確認しやすくなることや、管理上の課題を解消できることに意味がある場合もあります。費用と目的を分けて評価してください。

査定額はいずれも成約を保証するものではありません。販売が長引いたときに価格や方針を見直す時期も決め、工事費を回収できるという前提だけで判断しないようにしましょう。

05建物を残す場合も、状態の説明を準備する

現況で売る方針になった場合は、知っている不具合や過去の修繕を整理します。雨漏り、設備の故障、増改築、シロアリ被害の記録など、分かることを時系列にまとめましょう。修繕した箇所は「以前不具合があり、いつ、何を直したか」が分かる形にします。

建物の利用を前提にする買主と、解体を予定する買主では、確認したい情報が異なります。どちらの場合も、残す設備、撤去する家財、鍵の引渡し、引渡しまでの管理について、契約の条件を具体化する必要があります。

先にリフォームしたほうがよいとは限らない

壁紙や設備を新しくすれば、その費用がそのまま売却価格に上乗せされるわけではありません。買主が自分の好みで改修したい場合もあります。工事前に、清掃や最低限の安全対応で十分か、専門的な調査が必要かを売却担当者と相談してください。

現況渡しという言葉も、説明や責任の扱いをすべて省略できる意味ではありません。契約書の内容と、物件の状況を記録した書類を照らし合わせ、分からない条項は専門家へ確認します。

06工事を決めるまでの進め方

  1. 資料と現況を整理する名義、図面、道路、建物の不具合、家財の量、希望時期をまとめます。
  2. 売り方ごとの査定を受ける現況と更地の両方について、価格だけでなく想定する買主と条件を聞きます。
  3. 必要な工事と調査を見積もる解体・片付け・測量などの範囲と追加費用の条件を確認します。
  4. 税負担と日程を照合する解体時期、販売期間、引渡し日を並べ、関係する窓口へ必要な確認をします。
  5. 発注内容を書面で確定する残す物、撤去する物、工事の完了状態、支払条件をそろえてから依頼します。

自治体の補助制度を検討する場合は、対象の建物・工事、申請の時期、契約や着工の前に必要な手続きを確認します。補助金を使えると想定して契約する前に、担当窓口で適用条件を確かめてください。

遠方に住んでいる場合は、近隣への説明や現場の報告方法も決めます。完了写真だけでは分かりにくい箇所があるため、完了時に誰が現地で確認するか、追加対応があった場合にどう連絡するかまで整理しましょう。

07よくある質問

古い家に値段が付かなければ、解体すべきですか?

査定で建物の価格が低いことと、解体したほうが有利であることは同じではありません。建物を利用する需要や解体費、土地の利用条件を含めて比べましょう。現況と更地の両案について説明を受けてから判断します。

買主が決まってから解体する方法もありますか?

取引条件として、誰がいつ解体するかを調整する方法は考えられます。ただし、費用、工事の範囲、予定が遅れた場合の扱いなどを具体的に決める必要があります。売却担当者と契約上の条件を確認してください。

解体費の安い会社に任せればよいですか?

同じ作業範囲か、調査・処分・養生・整地などが含まれているかを確認します。追加費用の条件、必要な許可等、近隣への対応、完了確認の方法も比較しましょう。見積もりの一行の総額だけでは判断できません。

家を壊すと税金は必ず高くなりますか?

住宅用地の特例の扱いが変わる場合がありますが、建て替え等の条件や土地の状況によって異なります。現在の課税資料、解体予定日、その後の利用予定を用意し、物件の所在地を担当する税の窓口へ確認してください。

08まとめ:解体の判断は、見積もりがそろってから

古い家を売るときは、現況で売る方法と解体して売る方法を並べ、価格、費用、時間、選択肢の違いを確認しましょう。道路や再建築、税負担、権利関係を調べる前に工事を発注すると、後から方針を変えにくくなります。

まずは資料と写真をそろえ、現況の査定と必要な工事の見積もりを受け取ることが第一歩です。解体そのものを目的にせず、売却や今後の利用にとって何が必要かを基準に判断してください。

工事を頼む前に、売り方を比べませんか

建物の状態、所在地、ご希望の時期をお聞かせください。現況での売却も含め、確認する資料と検討する条件を整理します。

参考資料・確認先

2026年9月27日確認。制度・手続きや取引条件は物件と地域により異なります。個別の契約・法務・税務は、内容に応じた窓口・専門家に確認してください。

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