古いアパートの売却を考える
価格・修繕・進め方の確認ポイント
築年数だけで売却の可否は決まりません。建物の状態、入居・収支、契約関係を整理し、修繕する場合と現状で売る場合を比較しましょう。
古いアパート売却の基本知識
古いアパートの売却では、土地・建物の状態に加え、賃料収入や維持費、入居者との契約も判断材料になります。希望する価格と時期を整理し、現状での売却・修繕後の売却・保有継続を比較することから始めましょう。
この記事で分かること
- ✓ 古いアパート売却時の重要ポイント
- 売却前に準備する資料と確認事項
- ✓ 税金・費用の計算方法
- ✓ 買取と仲介の選び方
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戸建て住宅を売る場合は、古い家の売却方法・手続き・税金の確認ポイントもご参照ください。
築年数が古い物件で確認したい課題
主な課題
- 価格の判断:築年数に加え、土地、建物の維持状態、賃貸収支、周辺の取引状況を確認する
- 外壁・屋根・水回り:劣化や不具合、過去の修繕内容と今後必要な工事を整理する
- 修繕の負担:工事の範囲・時期・見積額と、売主・買主のどちらが対応するかを検討する
- 購入者の条件:求める収益や建物の状態、金融機関の融資条件は購入者によって異なる
- 売却までの期間:資料収集、建物調査、入居者への配慮、融資審査や契約調整に必要な日程を見込む
不具合を隠さず資料にまとめ、査定の根拠や調査が必要な点を不動産会社と確認しましょう。
修繕費用と間取りの影響
修繕や間取り変更をしても、費用を売却価格にそのまま上乗せできるとは限りません。安全・維持管理上必要な対応と、売却に向けた追加工事を区別し、現状での売却条件も比較します。入居中の工事は契約や入居者への影響を確認して進めましょう。
工事を決める前に確認すること
- 水回り:漏水や故障の有無、修理と交換の範囲、配管工事や入居者への影響を確認する
- 和室・間取り:周辺の賃貸需要、構造上の制約、工期と費用を確認する
- 外壁・屋根:雨漏りや劣化を点検し、塗装だけで対応できるか、補修が必要かを調べる
- 共用部分:清掃、照明、通路や避難経路などの日常管理状況を確認する
- 設備:不具合、修理履歴、交換時期を整理し、更新の要否を検討する
| 修繕項目 | 見積もりで確認する範囲 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 水回りリフォーム | 戸数・箇所、配管、機器、撤去・処分 | 故障や漏水への対応と全面更新を分ける |
| 和室→洋室化 | 面積、下地、構造、入居中の施工条件 | 地域の需要と工事費を比較する |
| 外壁塗装 | 面積、足場、下地補修、防水、材料 | 劣化の原因と必要な補修を確認する |
| 屋根塗装 | 屋根の状態、足場、雨漏り、材料 | 塗装・補修・交換のどれが必要か調べる |
| 設備更新 | 台数、仕様、設置工事、撤去・処分 | 修理と交換、今後の維持費を比較する |
この表は工事価格や効果の相場を示すものではありません。建物の規模・状態を伝え、同じ工事範囲・仕様で見積もりを比較します。追加費用、工期、入居者への対応も確認してください。
売却のご相談を承ります
古いアパートの売却を検討中の方へ。
建物の状況とご希望を伺い、修繕や売却の進め方を一緒に整理します。
耐用年数とローンの関係
法定耐用年数は、減価償却の計算に使う税務上の年数です。建物の物理的な寿命や、融資を受けられる期間・売却価格と同じではありません。賃貸経営用のアパートを購入する資金は、投資用・事業用の融資として金融機関に確認します。自分が住むための住宅ローンとは区別しましょう。
住宅用建物の主な法定耐用年数(減価償却)
| 構造・住宅用の区分 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 22年 |
| 木骨モルタル造 | 20年 |
| 金属造:骨格材の肉厚3mm以下 | 19年 |
| 金属造:3mm超・4mm以下 | 27年 |
| 金属造:4mm超 | 34年 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
築年数が経過した物件で確認すること
- 融資条件:物件の収支、担保評価、構造・状態、購入者の資金計画などを金融機関に確認する
- 資金計画:融資の金額・期間・金利と必要な自己資金を確認する。法定耐用年数を過ぎたら現金購入のみになるとは限らない
- 価格の検討:建物の状態、土地、賃貸収入、修繕負担などを合わせて判断する
- 売却までの期間:買い手の融資審査や調査に必要な期間を見込む。期間は物件・条件によって異なる
表の年数は主な住宅用建物の税務上の区分です。「軽量鉄骨」という呼び名だけで年数を決めず、骨格材の肉厚・用途を資料で確認します。中古資産の減価償却では別途計算が必要になる場合もあります。建物の状態や融資条件、売却価格は個別に確認しましょう。例えば、フラット35は投資用物件の取得には利用できません。
耐震基準の影響と対策
新耐震基準は1981年(昭和56年)6月1日に施行されました。旧耐震・新耐震の確認には建築確認日などの資料を用います。築年だけで現在の安全性を決めず、耐震診断・改修履歴と建物の状態を確認しましょう。
旧耐震基準の物件で確認したい点
- 耐震性:構造・劣化・改修履歴を確認し、必要に応じて建築士等に耐震診断を依頼する
- 住宅ローン控除:自己居住などの要件がある制度で、賃貸経営用の購入とは区別します。自己居住用の中古住宅では、耐震基準への適合の証明や所定の耐震改修等によって対象となる場合があり、旧耐震というだけで一律に対象外とはいえません
- 融資:金融機関・商品によって審査条件が異なるため、建物資料と収支計画をもとに確認する
- 地震保険:居住用建物等を対象に火災保険と併せて契約する保険です。構造・所在地や耐震性能等の割引によって保険料が変わります。築年だけで判断せず、加入条件や耐震診断割引等の適用を保険会社に確認します
効果的な対策
- 耐震診断:建物の構造・規模・資料の有無を伝えて、調査内容と費用を見積もってもらう
- 耐震改修:診断結果を踏まえ、必要な工事・費用・入居者への影響を確認する
- 証明書類:税制等で必要となる証明の種類・取得時期を事前に確認する。制度によっては取得前の申請等が必要
- 情報の開示: 診断結果や補強履歴を積極的に開示し、透明性を確保
検討のポイント:耐震診断や改修の必要性と売却の進め方を合わせて検討します。費用をかけても売却価格にそのまま上乗せできるとは限らないため、現状での売却と工事後の売却を比較しましょう。
家賃滞納の影響と対策
入居者がいる状態で売る場合は、賃貸借契約、入金記録、敷金・保証金、管理・保証契約を整理します。家賃滞納があれば、金額や期間、これまでの対応を確認し、売却条件と引継ぎ方法を検討します。
滞納があるときの確認事項
- 入金状況:契約賃料と実際の入金を照合し、月別の未収額と対象期間を整理する
- 購入者への説明:滞納の事実、対応の経過、係争の有無を資料で説明する
- 価格・条件:滞納や今後の費用をどのように評価するか、査定の根拠を確認する
- 対応方針:売却することだけを理由に、当然に退去を求められるわけではない。契約解除や明渡しの可否は個別に確認する
対応と引継ぎの進め方
- 記録の整理:契約書、入金履歴、請求や連絡の記録を確認し、管理会社等と対応を整理する
- 保証契約:保証の対象・請求期限・免責条件と、所有者変更時の手続を保証会社に確認する
- 法律相談:回収、契約解除、明渡しを検討する場合は弁護士へ相談し、必要な手続と費用を確認する
- 売買契約での区分:既に発生した滞納賃料、敷金等の精算・返還債務、引渡し前後の賃料を分け、誰が何を引き継ぐかを確認する
- 関係者への案内:管理・保証契約の引継ぎと、入居者への通知、賃料の支払先・変更日を確認する
買取であっても、滞納や契約上の問題が自動的に解決するわけではありません。売買の条件と既存の賃貸借契約を確認し、不明点を残したまま引き渡さないようにしましょう。
売却後の税金・確定申告
以下は、個人が所有する土地・建物を売る場合の譲渡所得の基本です。売却代金から取得費と譲渡費用を差し引き、適用できる特別控除があれば控除した課税譲渡所得に税率を掛けます。売却代金やローン返済後の手取りにそのまま税率を掛けるものではありません。法人所有の売却は別の税務処理となるため、税理士に確認してください。
譲渡所得の計算方法
- 取得費:購入代金や取得時の対象費用など。建物は減価償却費相当額を差し引きます。賃貸に使っていた建物は、各年の減価償却費を確認してください。相続・贈与で取得した場合は、原則として前所有者の取得費と取得時期を引き継ぎます。
- 譲渡費用:売るために直接必要だった仲介手数料、測量費、売主負担の印紙代など。修繕費や固定資産税などの維持管理費は含みません。登記関連の支出をすべて譲渡費用とせず、費用の目的ごとに税務上の扱いを確認します。
個人の一般的な税率と所有期間
| 所有期間 | 所得税等 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 (5年以下) | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 (5年超) | 15.315% | 5% | 20.315% |
所有期間は、売却した年の1月1日時点で5年を超えるかで判定します。相続・贈与は原則として前所有者の取得時期を引き継ぎます。表は一般的な税率で、2026年分は基準所得税額に対する復興特別所得税2.1%を含みます。2027年分以後は防衛特別所得税と復興特別所得税の合計2.1%となります。特例や個別の税額計算は税務署・税理士へ確認してください。
確定申告の流れ
- 資料:取得・売却の契約書、対象費用の領収書、建物の減価償却の記録などを準備する
- 計算:取得費・譲渡費用・所有期間と特例の条件を確認し、売却後の納税資金を見込む
- 申告時期:売却した年の翌年の申告期間と納付期限を国税庁の案内で確認する
- 納付:所得税等は国税庁の案内に従って申告・納付する。住民税は翌年度の自治体の通知・納付方法を確認する
居住用財産の3,000万円控除を、賃貸アパートの全体に当然に使えるわけではありません。自己居住部分や以前住んでいた期間がある場合は、対象範囲と期限等を税務署・税理士に確認しましょう。特例で税額がゼロになる場合にも申告が必要なことがあります。売却損を給与所得等と自由に相殺することもできません。
売却条件と資金計画のご相談
売却価格だけでなく、諸費用やローン残高、納税に備える資金も整理しましょう。株式会社土地未来では物件の売却条件をご案内します。税額や特例の適用は税務署・税理士へご確認ください。
売却方法の選択肢と特徴
古いアパートの売却方法は、大きく分けて「仲介」と「買取」の2つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 購入希望者との交渉で決まる。査定額での成約を保証するものではない | 再販売・修繕等の条件を踏まえた個別提示。市場価格の一定割合とは限らない |
| 売却期間 | 募集・交渉・融資審査等によって変わる | 調査・契約・決済条件によって変わる |
| 手間 | 内覧対応、価格交渉など手間がかかる | 購入する業者との調査・条件調整が必要 |
| 仲介手数料 | 法定上限の範囲内で事前に合意。価格帯・特例で上限が異なる | 業者との直接売買で仲介を利用しない場合は不要 |
| 契約不適合責任 | 契約内容・当事者・法令に応じて確認 | 免責特約の有無・範囲・有効性を契約で確認 |
| 向いている人 | 購入希望者を募集し、条件を比較して進めたい | 不動産会社の購入条件を確認し、直接売買を検討したい |
仲介手数料の補足:通常の売買媒介で価格が400万円を超える場合、依頼者一方から受け取れる上限の速算式は「(売買価格×3%+6万円)×1.1」です。売買価格は建物消費税相当額を除きます。800万円以下の宅地建物には、媒介費用を勘案して依頼者一方につき税込33万円までとする特例があり、事前の説明・合意が必要です。一律の定額料金ではありません。
売却方法の選び方
- 仲介:販売活動の内容と期間、価格の根拠、報告方法を確認し、購入希望者を募集する
- 買取:対象物件かを確認し、調査・修繕・滞納等の扱い、価格、決済日、責任範囲を比較する。必ず買い取れる、短期間で決済できるとは限らない
- 方法の変更:仲介から買取への切替えを検討する場合は、媒介契約の期間・解除条件や既に進んでいる交渉との関係を確認する
提示価格だけでなく、費用を差し引いた手取り、引渡し時期、修繕や契約上の負担を同じ条件で比較しましょう。査定額は成約価格の保証ではありません。
売却前の資料と販売条件を整える
売却前に建物・契約・収支の資料を整理し、購入希望者が条件を判断しやすい状態にすることが大切です。価格や売却期間は個別の市場・物件条件によって変わります。
売却前に整理したい5つの項目
- 複数の査定を比較:提示額だけでなく、収益・修繕・取引事例など査定の根拠と売却条件を確認する
- 売却時期を検討:入居状況、賃貸借契約、今後の修繕、資金需要、購入者の融資条件を踏まえる。賃貸の繁忙期とアパート一棟の売買需要は同じではありません
- 修繕の判断:安全・維持管理上必要な対応と、売却のための追加工事を区別し、費用と見込まれる効果を比較する
- 収支と状態:契約賃料と実入金、空室、管理費・修繕費、滞納、修繕履歴を資料にまとめる。利回りを示す場合は、満室想定か実績か、費用を含むか、計算の基準日を明記する
- 価格と見直し:査定の根拠と希望条件を合わせて売出価格を検討し、問い合わせや交渉の状況を見て見直す。高めに出せば成約率が上がるとは限らない
購入希望者が判断しやすい情報の示し方
- 空室の案内:現況が分かる写真と間取りを用意する。家具の設置等に費用をかける場合は、効果が保証されないことも踏まえて判断する
- 写真:明るさや撮影範囲を整え、劣化・不具合を隠す加工や実際と異なる説明を避ける
- 周辺環境:距離や施設の情報を確かめる。再開発等の計画は公的な発表と確認時点を示し、未確定の実施や値上がりを断定しない
- 賃貸実績:収支の対象期間と入居・滞納の状況を示す。過去の実績は将来の入居率や収益を保証するものではない
- 媒介契約の比較:一般・専任・専属専任の違い、報告や販売活動の内容を確認し、状況に合う契約を選ぶ
アパート売却のご相談
売るか、持ち続けるか。まずは状況をお聞かせください。
株式会社土地未来が、物件の条件に合わせて検討の進め方をご案内します。
まとめ
古いアパートの売却では、築年数だけでなく、建物の状態・修繕、入居者との契約、実際の収支、融資や税金の条件を確認します。工事を先に決めるのではなく、現状での売却条件と費用をかける場合を比べましょう。
重要なのは、以下の3つです:
- 1 現状を正確に把握する: 築年数、修繕履歴、耐震性、賃貸状況などを整理
- 準備を進める:安全・維持管理上必要な対応、追加工事の判断、滞納や契約関係の引継ぎを整理する
- 3 専門家に相談する: 不動産会社、税理士、弁護士など、各分野の専門家を活用
築年数だけで売却の可能性や価格を決めず、物件の現状と収支、ご希望の時期を整理しましょう。査定の根拠を確認しながら、仲介・買取・保有継続を比較することが大切です。
株式会社土地未来は、東京都内を中心に土地・不動産のご相談を承っています。売却するか決める前の段階でも、物件の状況とご希望をお聞かせください。
今回の追補で確認した公的資料
賃貸契約・譲渡所得・特例等の確認日:2026年9月27日。以下は一般的な制度の確認資料です。個別の税務・法務判断や専門家による監修を意味するものではありません。
確認に用いた公的・公式資料
耐用年数、融資の利用目的、住宅ローン控除、地震保険、仲介報酬等の確認日:2026年9月26日。個別の適用可否は、建物・契約・居住状況に応じて各専門家や金融機関等へご確認ください。


