②不動産売却

不動産を売却する際に必要な書類と準備するタイミングを解説

人生の大きな節目として、不動産の売却を決意したとき。その手続きの複雑さ、特に、準備しなければならない「必要書類」の多さに、戸惑いや不安を感じてしまう方は、決して少なくありません。

「権利証って、どれのことだろう?」 「もし、必要な書類をなくしてしまっていたら、どうしよう?」 「一体、いつまでに、何を準備しておけば良いのだろうか?」

不動産の売却は、非常に大きな金額が動く、重要な法律行為です。そのため、その不動産が、確かにご自身の所有物であることを証明し、買主へ安全に権利を移転するために、様々な公的な書類が、必要不可欠となります。

この記事では、そんな初めて不動産の売却に臨む皆様の不安を解消するために、不動産のプロフェッショナルとして、売却の各ステップで、どのような書類が必要になるのか、

そして、それをいつまでに準備すれば良いのかを、体系的に、そして分かりやすく解説していきます。

監修者
宮原海斗

宮原海斗株式会社Gen’Z 代表取締役

宅地建物取引士/相談診断士

横田大樹

横田大樹株式会社Gen’Z 専務執行役

宅地建物取引士/相談診断士

不動産を売却する際は書類が必要

不動産の売却プロセスは、「査定依頼」から始まり、「媒介契約」「売買契約」、そして最終的な「引き渡し」へと、いくつかの段階を経て進んでいきます。そして、それぞれの段階で、必要となる書類は異なります。

「たくさんの書類を、全部自分で、完璧に揃えなければならないのか…」と、心配になるかもしれません。しかし、ご安心ください。 実際に、売却活動のパートナーとなる不動産仲介会社が決まれば、その担当者が「このタイミングで、この書類をご準備ください」と、丁寧に案内してくれます。

まずは、売却の全体像と、どのような書類が必要になるのかを、ここで大まかに把握しておくことで、その後のプロセスをより安心して、そしてスムーズに進めることができるでしょう。

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不動産に売却依頼を行う際の必要書類

まず、不動産会社に、物件の査定を依頼したり、売却の仲介をお願いする「媒介契約」を結んだりする段階で、必要となる、あるいは、手元にあると、話がスムーズに進む書類について、解説します。これらは、主に、その不動産が、どのような物件であるのかを、正確に特定するためのものです。

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登記簿謄本または登記事項証明書

その不動産の、所在地や面積、所有者の氏名・住所といった、法的な情報が記録されている、公的な書類です。不動産会社は、この書類によって、物件の正確な情報を把握し、査定価格を算出します。法務局で取得することができますが、多くの場合、不動産会社が代理で取得してくれます。

売買契約書

これは、ご自身が、その不動産を、過去に購入した際の「売買契約書」です。購入時の価格が分かることで、売却して利益が出た場合にかかる「譲渡所得税」の計算を、正確に行うことができます。もし、紛失してしまうと、税金面で、大きな不利益を被る可能性もある、非常に重要な書類です。

重要事項説明書

不動産を購入する際に、宅地建物取引士から事前に交付される書類です。物件の権利関係や法的制限、設備の状況など、購入にあたって重要な情報が記載されています。売却時にも物件の状況を把握する資料として役立ちます。紛失しないよう大切に保管しましょう。

登記済権利書または登記識別情報

一般的に「権利証」と呼ばれる、その不動産の所有者であることを証明する最も重要な書類です。平成17年の、不動産登記法の改正以前に、登記された不動産の場合は「登記済権利証」、それ以降の場合は、12桁のパスワードが記載された「登記識別情報通知」が、これにあたります。絶対に、紛失してはいけない書類ですが、万が一、紛失してしまった場合でも、司法書士による本人確認情報作成などの代替手段があります。

土地測量図・境界確認書

土地付きの戸建て住宅を売却する場合に重要となるのが、土地の正確な寸法や面積が記された「土地測量図(確定測量図)」と、隣地の所有者との間で境界を確認し合意したことを示す「境界確認書」です。これらの書類があることで、買主は安心して土地の境界をめぐる将来のトラブルを避けることができます。

固定資産税納税通知書または固定資産税評価証明書

毎年、春ごろに、市町村から送られてくる「固定資産税納税通知書」には、その不動産の「固定資産税評価額」が記載されています。この評価額は、不動産会社が査定価格を算出する際の重要な参考情報となります。また、登記にかかる登録免許税の計算にもこの評価額が用いられます。

物件の図面・設備の仕様書

新築時のパンフレットや、間取りが分かる販売図面、あるいはリフォームを行った際の図面などがあれば準備しておきましょう。また、キッチンやお風呂、給湯器といった、住宅設備の、取扱説明書や、保証書なども買主にとって非常に有益な情報となります。

建築確認済証および検査済証

その建物が、建築基準法に適合していることを証明する、非常に重要な書類です。建築確認済証は、工事の着工前に、建築計画が、法的に問題ないことを、証明するもの。そして、検査済証は、建物が完成した後に、計画通りに、正しく建築されたことを、証明するものです。特に、この「検査済証」がないと、将来、増改築を行う際や、住宅ローンの利用が、困難になる場合があるため、大切に保管しておく必要があります。

建築設計図書・工事記録書

より詳細な建物の設計図や仕様書、あるいは工事中の写真などが残っていれば、それらも準備しておくと建物の品質をアピールする上で有利に働きます。どのような材料を使い、どのような工事が行われたのかを示す、客観的な記録は買主に大きな安心感を与えます。

マンションの管理規約・使用細則・維持費関連書類

マンションを売却する場合は、戸建てにはない特有の書類が必要になります。マンション全体のルールブックである「管理規約」や「使用細則」、そして長期修繕計画書や総会の議事録などです。また、管理費や修繕積立金の金額が分かる書類も、買主が購入後のランニングコストを把握するために不可欠な情報となります。

耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書

もし過去に耐震診断やアスベストの使用調査を実施している場合は、その報告書も重要な資料となります。特に旧耐震基準で建てられた建物の場合、耐震診断の結果は買主の重要な判断材料となります。建物の安全性を客観的に示すことで、売却を有利に進めることができます。

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買主に引き渡す際の必要書類

売買契約を結び、最終的に、物件を買主に引き渡す(決済)段階では、主に、売主自身の、本人確認や、所有権の移転登記のために、以下の書類が必要となります。

本人確認書類

所有者本人であることを、証明するための書類です。運転免許証や、パスポート、マイナンバーカードといった、顔写真付きの公的な身分証明書が必要となります。 具体的には以下のいずれかが必要です。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • マイナンバーカード
  • 住民基本台帳カード(顔写真付き)
  • 在留カードまたは特別永住者証明書

有効期限内であるか、必ず事前に確認しておきましょう。

実印・印鑑証明書

所有権の移転登記に関する司法書士への委任状など、重要な書類に捺印するため「実印」が必要となります。そして、その印鑑が本人のものであることを証明するために、市区町村役場で発行された「印鑑証明書」もセットで必要です。この印鑑証明書は、一般的に発行後3ヶ月以内のものという有効期限があるため、取得するタイミングには注意が必要です。

住民票

登記記録上の住所と現在の住所が異なる場合に、その繋がりを証明するため「住民票」が必要となります。こちらも印鑑証明書と同様に、発行後3ヶ月以内のものを求められるのが一般的です。

銀行口座の通帳

買主から売買代金の残金が振り込まれるご自身の銀行口座の情報が分かるものが必要です。金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、そして口座名義人が正確に確認できる通帳やキャッシュカードを持参します。

ローン残高証明書またはローン返済予定表

住宅ローンがまだ残っている場合に必要となる書類です。決済日時点での正確なローン残高を証明するために、借入先の金融機関から取り寄せておく必要があります。この書類に基づいて、買主から受け取った売買代金からローンを一括返済する手続きが行われます。

不動産を売却する際の必要書類はいつまでに準備するべき?

では、これらの多くの書類を いつのタイミングで準備すれば良いのでしょうか。慌てずに済むよう、時系列で整理しておきましょう。

査定を依頼する前に準備しておくべき必要書類

不動産会社に最初の査定を依頼する段階で、手元にあると話が非常にスムーズに進むのが物件の全体像が分かる書類です。具体的には「登記簿謄本」「固定資産税納税通知書」、そして新築時の「販売図面」や「パンフレット」などです。これらの書類があれば、不動産会社は物件の面積や構造、築年数といった基本的な情報を正確に把握でき、より精度の高い査定価格を算出することができます。もちろん、この段階で全ての書類が揃っていなくても、査定を依頼することは可能です。

不動産会社と契約する前に準備しておくべき必要書類

売却を任せる不動産会社を決め、媒介契約を結ぶ段階までには、より詳細な物件に関する書類を揃えておくのが理想です。特に、所有者本人であることを法的に証明する最も重要な「登記済権利証(登記識別情報)」と、建物の適法性を証明する「建築確認済証・検査済証」は、このタイミングで不動産会社にその存在を確認してもらう必要があります。また、「土地測量図・境界確認書」や過去の「売買契約書」なども、販売活動を本格的に始める前に準備しておくことで、その後のプロセスが円滑に進みます。

不動産売却の書類を揃えるのは大変だが不動産会社の協力があれば大丈夫

今回は、中古住宅の売却という大きなライフイベントにおいて、必要となるさまざまな書類について、その種類と準備するタイミングを詳しく解説しました。

多くの書類があり、その内容も専門的で難しく感じられたかもしれません。

しかし、その一つひとつの書類は、ご自身の大切な資産の権利を守り、買主へ安全に、そして確実にその価値を引き継ぐために不可欠な重要な役割を担っているのです。

不動産の売却は決して一人で進めるものではありません。

この記事でご紹介した書類の準備も、パートナーとなる不動産会社の担当者と相談しながら、計画的に、そして一つひとつ着実に進めていけば、何も恐れることはありません。

この記事が、皆様のスムーズで、そして後悔のない不動産売却の一助となることを、心より願っております。

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