④不動産相続

相続した土地は3年以内に売却するべき?節税方法や売却の注意点を徹底解説

相続によって取得した土地は、維持費や管理リスクの観点から「売却してしまいたい」と考える方が多いでしょう。
しかし、不動産を売却すれば譲渡所得税などの税金がかかります。一方で、3年以内に売却すると適用できる特例があり、税負担を軽くできる可能性が高まります。
とはいえ、適用条件を勘違いしていて、後から予想外の税金を払うはめになるケースも散見されます。

本記事では「相続した土地を3年以内に売却する場合」をテーマに、受けられる節税効果や売却の注意点、3年を過ぎても売却を検討するべきケースなどを整理します。
不動産の買取や売却を考えている方が、制度をうまく活用して損をしないよう、わかりやすく解説します。

監修者
宮原海斗

宮原海斗株式会社Gen’Z 代表取締役

宅地建物取引士/相談診断士

横田大樹

横田大樹株式会社Gen’Z 専務執行役

宅地建物取引士/相談診断士

相続した土地は3年以内に売却すべき


相続した土地の売却を考える際、3年以内に売却すると「特例」を適用できる可能性が高まります
これは主に税金面での優遇策が存在するためであり、売却益にかかる譲渡所得税の軽減に大きく影響します。

また、長期間持ち続けると固定資産税や管理コストがかかるだけでなく、不動産市況によっては価値が下がるリスクもあります。
特に、使い道のない土地を持っているとデメリットが大きいので、早めに売却を検討することが得策の場合も多いです。

関連記事:相続した土地を5年以内に売却するのは注意?その理由を解説

土地を相続したらどうなるのか


人が亡くなると、その人が所有していた土地や建物は相続人に承継されます。
まずは相続手続きを行い、名義を変更するなどのプロセスが必要です。

以下では、基本的な流れを簡単に振り返ります。

相続手続きの概要

相続が開始したら、まずは相続人を確定し、相続する財産の一覧を作成します。相続するかどうか(単純承認・限定承認・相続放棄)を決めたうえで、遺産分割協議を行い、法務局で相続登記を済ませます。

土地の名義変更(相続登記)

土地を売却する前に、相続登記を完了させなければなりません。戸籍謄本や被相続人の除票、遺産分割協議書などが必要となり、登録免許税を納付して法務局で手続きを行います。

相続した土地を3年以内に売却すると得られる税制優遇


相続した土地を売却するときには、「被相続人の居住用財産売却時の3,000万円特別控除」 と 「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」 の二つが代表的な特典です。
ただし、両方を同時に適用することはできないため、自分の状況に合った特例を選ぶ必要があります。

被相続人の居住用財産売却時の3,000万円特別控除


被相続人が住んでいた住宅や敷地を、相続人が売却する場合に適用される制度です。

【主な条件】

  1. 被相続人が住んでいた家屋および敷地であること
  2. 相続後、一定期間(3年以内など)に売却すること

【効果】
譲渡所得から3,000万円を控除できるため、大幅な税額軽減が期待できます。ただし、住宅借入金等特別控除などとの併用が制限される場合があります。

相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例


相続税を納付した場合に、その相続税のうち一定額を土地の「取得費」に加えることができる特例です。

【主な条件】

  1. 相続開始後3年10か月以内に売却すること
  2. 相続税を実際に支払っていること

【効果】
譲渡所得の計算で取得費を増やせるため、譲渡所得が下がり税額が軽減されます
ただし、3,000万円特別控除と同時に使えない点に留意しましょう。

売却前に知っておきたい税金と費用


相続した土地を売却する場合、譲渡所得に対する税金だけでなく、手続きに伴う諸費用がいくつか発生します。

土地売却時にかかる税金の種類


土地売却時にかかる税金は以下のとおりです。

  • 譲渡所得税(所得税・住民税):土地売却益に課される主要な税金
  • 復興特別所得税:所得税の2.1%相当が上乗せ
  • 印紙税:売買契約書に貼付する印紙。譲渡所得税は所有期間が5年以下の場合は短期譲渡として扱われ、税率が高くなります。

渡税率、5年超の場合は長期譲渡税率が適用され、税率が異なります。

相続した土地の売却にかかるその他の費用


土地を相続し、それを売却する場合のかかるその他の費用としては、以下が挙げられます。

  • 仲介手数料:不動産会社を通じて売却する場合、最大で売却価格の3%+6万円+消費税が一般的
  • 登記費用(名義変更や抵当権抹消など):司法書士に依頼する場合の報酬も含む
  • 測量費:境界が不明確な場合や分筆が必要な場合に発生
  • 解体費用:古家が建っている場合の解体や処分費

こうした費用も考慮したうえで、最終的な手取り金額を試算するとよいでしょう。

関連記事:不動産売却にかかる税金のすべて|計算方法・節税対策・確定申告の流れを解説

相続した土地を3年以内に売却する際の注意点


3年以内に売却すれば特例が使えるケースが多いですが、いくつかの注意点があります。
特に、利用できる特例が1つに限られる点や、共有名義、売却期限に間に合わないリスクなどに気をつけましょう。

利用できる特例はどちらか1つのみ


「被相続人居住用財産の3,000万円特別控除」と「取得費加算の特例」は重複して適用できません。どちらを選ぶほうが節税効果が高いかはケースバイケースで、譲渡益や相続税の額を比較して決定する必要があります。

共有名義の場合の売却方法


土地が兄弟姉妹など複数人の共有名義になっている場合、売却には全員の合意が必要です。共有者が1人でも反対すれば売却は難しくなるため、早期の段階で協議を進めておくことが重要です。

売却までに時間がかかるケース


相続開始後にすぐ買主が見つかるとは限らず、立地や市況によっては売却に半年〜1年以上かかることも珍しくありません。税制優遇の期限内に売却を完了させるには、早めに不動産会社へ査定依頼を行い、市場動向を把握しておく必要があります。

3年を過ぎても売却すべきケースとは?


3年以内の売却が推奨される一方、必ずしも3年以内に売るのが最善とは限らない場合もあります。
以下のような状況下では、3年を過ぎても売却すべきケースがあります。

固定資産税や維持費が負担になる場合


資金的な都合で3年以内に売却できなかったとしても、土地を持っている間は固定資産税がかかり続けます。負担が大きいなら、特例は適用できなくても早めに売却するのも選択肢となります。

空き家の老朽化や管理リスクが高まる場合


建物付きの土地で空き家があると、倒壊のリスクや近隣トラブルの発生など、管理リスクが増大します。3年を過ぎても維持管理の手間・コストが膨らむなら、売却することでリスク回避を図るのが有効です。

関連記事:【完全版】古い家を売るには?|売却方法・手続き・税金・注意点を徹底解説

土地の市場価値が下がる前に売却したほうがよい場合


近隣開発や需要の変化などで、今後地価が下がる見込みがある地域では、特例を逃しても高値で売れるうちに売却するほうが結果的に利益を確保できる可能性があります。市場動向をよくリサーチして決めましょう。

相続した土地を売却する流れ


実際に土地を売却する際のフローを簡単にまとめると以下のようになります。
ここでも相続登記や確定申告などを忘れずにチェックしましょう。

不動産会社に査定を依頼する


まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、おおよその売却価格を把握します。会社ごとに査定額や販売戦略が異なるため、比較検討が大切です。

関連記事:不動産会社の種類とは?賃貸仲介の仕事内容や手数料も解説

相続登記を完了させる


名義が被相続人のままでは売却手続きが進められないため、相続登記を行い、相続人名義に変更します。書類が揃っていなかったり、共有名義人の合意が得られていなかったりすると手続きが滞るので注意してください。

売買契約を締結する


買主が見つかり、価格や引渡し条件で合意したら売買契約を締結します。契約書には重要事項説明書や手付金、仲介手数料などが絡むため、慎重に確認しましょう。

関連記事:不動産の売買に仲介業者はいらない?利用すべき理由を解説

売却後の確定申告を行う


譲渡所得(売却益)が発生した場合、翌年の確定申告で譲渡所得税や住民税を申告・納付します。特例を適用する場合は必要書類を忘れずに準備し、期限内に手続きを完了させてください。

【まとめ】相続した土地は3年以内の売却がおすすめ


相続した土地は、持ち続けると固定資産税やメンテナンス費用などの負担が大きいだけでなく、土地の市場価値が低下するリスクもあるため、早めの売却が検討されがちです。

特に「3年以内」に売却すれば、被相続人の居住用財産売却時の3,000万円特別控除や取得費加算の特例などによって大幅な節税が可能となります。
ただし、二つの特例を併用することはできず、どちらがより有利かはケースバイケースで判断が必要です。
共有名義であれば、全員の合意を得るまで時間がかかることもあり、売却期限を逃さないように注意しましょう。

3年を過ぎたとしても、市場や立地、維持管理リスクを考慮すれば売却すべきケースは多々あります。大事なのは、相続直後から計画的に動き、書類や合意形成を早めに進めておくことです。

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