不動産売却の相場の調べ方|査定額と成約価格を比べるポイント
価格の根拠を確認し、納得できる売却条件を考えるために

宮原海斗(株式会社土地未来 代表取締役)

横田大樹(株式会社土地未来)
なぜ売却相場を知ることが重要なのか?
不動産の売却を考えるときは、売り出し価格、実際の成約価格、不動産会社の査定額を区別することが大切です。この記事では、価格情報の調べ方と、査定の根拠・売却条件を比較するための確認点を紹介します。
この記事の監修者
宮原 海斗
株式会社土地未来
代表取締役
横田 大樹
株式会社土地未来
専務取締役
1. 不動産売却相場を知るメリットとは
価格情報は、売却条件を考えたり、不動産会社の説明を確認したりする材料になります。データの種類と対象をそろえて比較しましょう。
売出価格を検討する材料になる
近隣の事例と自分の物件の違いを整理し、売出価格とその根拠を検討できます。資料を調べただけで成約価格が決まるわけではありません。
提示価格の理由を確認しやすくなる
希望額と差がある場合に、取引事例、調査結果、費用負担などの理由を確認できます。金額だけで不当な提案と決めつけないようにしましょう。
価格と売却日程を合わせて考えられる
価格だけでなく、募集・調査・融資・契約に必要な期間も含めて計画します。相場に近い価格なら必ず早く売れるというものではありません。
査定の前提を比較できる
参照した事例、調査済みの条件、想定する売却時期をそろえ、査定額が異なる理由を確認できます。
交渉や見直しの条件を整理できる
手取り、引渡し時期、修繕・測量等の負担を整理し、どの条件を優先するかを検討できます。
価格情報を使うときの確認点
相場を一つの数字で捉えず、時期・地域・物件条件による幅を確認します。平均値や一つの成約事例だけでは分からない点を、不動産会社へ質問してみましょう。
価格の根拠や売却条件をご相談ください
所在地や物件の状況、売却を考えている時期をお聞かせください。株式会社土地未来が、価格を検討するための確認点と進め方をご案内します。
2. 売却価格に影響する5つの要因
以下は主な確認項目です。土地の場合は接道、形状、高低差、用途制限、境界、権利関係なども価格に関わります。近隣でも条件が違えば、同じ単価が当てはまるとは限りません。
① 立地条件
立地が価格に与える影響
- 交通:駅までの距離だけでなく、利用路線、バス、道路、日常の移動手段を確認する。徒歩分数だけで価格が決まるわけではありません
- 周辺施設:店舗・学校・病院等への行きやすさと、騒音や交通量なども確認する
- 周辺環境:現地の様子や公的な防災情報等を確認し、地域全体の印象だけで個別物件を評価しない
- 開発計画:公的発表の内容・時点・実施状況を確認する。計画の実現や価格上昇を保証するものではありません
② 築年数
築年数ごとの確認事項
- 築5年以内:築浅でも、立地・仕様・状態や周辺の成約事例を確認する
- 築10年~15年:設備の状態や修繕履歴、近隣の取引状況を比較する
- 築20年~25年:建物の性能・維持管理・改修内容を個別に確認する
- 築30年以上:築年数だけで建物価値を一律にゼロとせず、構造や状態、利用可能性を確認する
③ 物件の状態
築年数だけでなく、実際の物件の状態も価格に大きく影響します。
外観・内装の状態
清掃や必要な補修は物件の状態を伝える助けになります。ただし、工事費を売却価格で回収できるとは限らないため、着手前に費用と効果を検討しましょう。
設備の新しさ
設備の年式、不具合、修理・交換履歴を確認します。新しい設備への交換費用を、そのまま売却価格へ上乗せできるとは限りません。
耐震性能
建築時の適用基準、耐震診断・補強の有無などを資料で確認します。完成年だけで耐震性能を判断せず、必要に応じて建築士等へ相談しましょう。
④ 周辺の取引事例
条件が近い成約事例は参考になります。ただし、個々の取引には事情や条件の違いがあり、そのまま自分の物件へ当てはめることはできません。
取引事例の確認ポイント
- 同じマンションや近隣の戸建て住宅の成約事例をチェック
- 時期:できるだけ最近の事例を確認し、件数が少ない場合は比較期間と市場環境の変化を明示する
- 面積、間取り、築年数などの条件が似ている物件を比較対象に
- 売り出し価格ではなく、実際の成約価格を確認する
⑤ 社会・経済状況
不動産市場は、景気や金利、税制などのマクロ経済環境に大きく影響されます。
注意すべき経済指標
- 住宅ローン金利:購入者の返済負担や融資条件に関わる。金利の変化だけで売却価格の方向を断定しない
- 景気・需要:地域、物件種別、価格帯によって動きが異なるため、対象をそろえた資料で確認する
- 税制:制度の施行時期と対象要件を確認する。個別の税額・適用は税務署・税理士へ相談する
- 人口・世帯:自治体等が公表する地域の人口・世帯の変化を確認し、将来の需要を一律に決めつけない
3. 相場を調べる6つの方法
価格情報には、募集情報、成約事例、標準的な地点の地価、課税のための評価などがあります。それぞれの目的と限界を理解して利用しましょう。
① 不動産ポータルサイトを活用
主要な不動産ポータルサイト
- SUUMO(スーモ):物件種別・地域・面積など、比較する検索条件をそろえる
- LIFULL HOME’S(ライフルホームズ):募集価格、物件条件、情報の更新日を確認する
- at home(アットホーム):同じ物件の重複掲載にも注意し、内容と更新日を確認する
活用のポイント:地域・物件種別・面積・築年数などの条件をそろえて比較します。掲載物件を単純に平均するだけでは、構成の違いや重複の影響を受けます。募集価格は成約価格と区別してください。
② REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)
成約情報を参考にする
指定流通機構の成約情報を基にした「REINS Market Information」では、マンション・戸建住宅の取引事例を参考にできます。すべての売買を網羅するものではなく、個別の物件が特定されないよう加工された情報です。
- 公式案内:東日本レインズの統計ページにある「REINS Market Information」へのリンクから確認できます。
- 特徴:売り出し価格ではなく、実際の成約価格が確認できる
- 検索:マンション・戸建ての別と対象地域を選び、画面で指定できる条件や表示対象の期間を確認する
利用時の確認:対象物件、取引時期、表示される件数や条件を確かめます。公表されていない個別事情もあるため、参考事例として使い、査定の説明と照らし合わせましょう。
③ 国土交通省の不動産情報ライブラリ
公的な取引価格情報
現在は国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、不動産の取引価格・成約価格、地価公示などを確認できます。価格の種類、対象時期、地域を確かめて利用しましょう。
- URL:https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
- 価格情報:取引価格情報は土地、土地と建物、中古マンション等。成約価格情報は戸建て・中古マンション等が対象で、区分を確認して利用する
- 対象時期:取引価格情報と成約価格情報では収録期間が異なります。検索画面で選択できる期間と最新の更新状況を確認する
④ 公示地価・基準地価を参考にする
公示地価と都道府県地価調査の基準地価格は、選ばれた地点の価格を示します。自分の土地の面積にそのまま掛ければ売却価格になるものではなく、地点の条件や評価時点の違いを確認して参考にします。
公示地価と基準地価の違い
- 公示地価:国土交通省が毎年1月1日時点の価格を3月に公表
- 基準地価:都道府県が毎年7月1日時点の価格を9月に公表
- 活用方法:土地の適正価格を知る目安として利用
⑤ 固定資産税評価額を参考にする
宅地の固定資産税評価では、地価公示価格等の7割を目途とする評価が行われます。これは個々の不動産の売却価格の7割という意味ではありません。建物の評価にも、同じ逆算式をそのまま使うことはできません。
評価額と売却価格を混同しない
「固定資産税評価額÷0.7」で、実際の売却価格が決まるわけではありません。評価時点や評価方法、土地の条件を確認するための資料として活用します。
課税明細書では、土地と家屋の区分、価格(評価額)、課税標準額を分けて確認しましょう。住宅用地等の特例を反映した課税標準額を、売却価格の推定にそのまま用いないよう注意してください。
注意点:評価額、課税標準額、売却価格は目的や計算方法が異なるため、数字を読み替えないようにしましょう。
⑥ 不動産会社に査定を依頼
不動産会社に査定を依頼し、参照した成約事例や物件の評価理由を確認します。査定額は売却見込みの意見であり、その価格での成約を保証するものではありません。
複数社に依頼するメリット
複数社の査定を比べる際は、金額だけでなく、比較事例・売却を見込む期間・販売方針を確認しましょう。依頼数だけで適正価格が確定するわけではありません。
簡易査定と訪問査定
机上査定で概算を把握し、必要に応じて現地確認や資料調査を行います。訪問査定でも、最終的な成約価格は買主との合意で決まります。
担当者の対応もチェック
査定額だけでなく、担当者の説明の丁寧さや信頼性も重要な判断材料です。
査定の前提を整理したい方へ
物件の状態や希望条件を伺い、査定に必要な資料や調査の進め方をご案内します。まだ売却を決めていない段階でもご相談ください。
4. 買取と仲介の価格差を理解する
仲介は買主を探す方法、買取は不動産会社が直接買主になる方法です。価格だけでなく、調査・契約・決済の日程や費用負担を比較しましょう。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 募集条件と買主との交渉・合意により決まる | 物件の状態や事業計画等に応じて個別提示 |
| 売却期間 | 買主探しや融資・契約条件により異なる | 調査・権利関係・契約・決済条件により異なる |
| 手間 | 内覧対応、価格交渉などが必要 | 買主探しは省けるが、調査・書類準備等は必要 |
| 仲介手数料 | 法定上限内で合意。価格や適用特例により異なる | 不動産会社との直接売買なら仲介手数料は発生しない。別の仲介会社が入る場合は確認 |
| 契約不適合責任 | 売主・買主の属性や契約内容等を確認 | 買取でも自動的に免責にはならない。特約の範囲と告知事項を確認 |
| 検討したい場面 | 購入希望者を募集し、提案を比較して売却条件を調整したい | 不動産会社の提示条件を確認し、直接売買を検討したい |
価格差の理由
買取価格は、再販や保有に必要な費用、物件の状態、権利関係などを踏まえて提示されます。仲介価格の一定割合に決まるものではありません。仲介でも必ず高く売れるとは限らず、提示条件を個別に比較することが大切です。
どちらを選ぶべきか?
- 仲介を検討する場合:買主を探しながら価格や引き渡し条件を調整したいとき。必要な期間の見通しも確認する
- 買取を検討する場合:不動産会社が購入できる条件、調査・決済の日程、費用や責任範囲を確認する。急ぐ場合も希望日程での成約が保証されるわけではありません
5. 市場動向を確認するときのポイント
市場全体の統計と、ご自身の物件の売却見込みは分けて考えます。将来の金利や価格を決めつけず、確認できるデータと現在の条件を基に判断しましょう。
① データの時期と対象を確認する
比較する前の確認事項
- 時期:公表日と実際の取引時期を区別する
- 対象:土地・戸建て・マンションなどの区分を揃える
- 価格:売り出し価格、成約価格、公示地価を混同しない
- 件数:一つの事例だけで地域全体の動きを判断しない
② 築年数と建物の状態を分けて見る
年数だけでは分からないこと
- 構造や性能、維持管理・修繕の履歴を確認する
- 土地と建物の評価理由を分けて説明してもらう
- 築年数だけで価値や売却可否を一律に判断しない
③ 売却時期を生活の予定と合わせる
引き渡しまでの準備
- 住み替え先や相続手続きなどの予定を整理する
- 測量・残置物・書類収集などに必要な期間を確認する
- 特定の季節なら必ず高く売れると考えず、物件ごとの募集状況を確認する
④ 金利と融資条件は最新の案内で確認する
予測値を売却判断の前提にしない
住宅ローンの条件は金融機関・商品・審査・適用時期などで異なります。買主の融資利用や決済予定にも関わるため、実際の条件を確認します。将来の金利上昇を理由に、売却を急げば高く売れると断定することはできません。
⑤ エリアと物件条件を揃えて比較する
近隣事例との違いを確認する
- 駅までの距離、面積、接道、用途地域などを比較する
- 同じ区市町村でも、立地や権利関係の違いを確認する
- 平均価格だけでなく、複数の取引事例と査定の根拠を見る
6. 売却条件を判断するときの確認点
価格情報と査定の説明に、ご自身の事情や費用負担を合わせて判断しましょう。次の点を確認しておくと、比較の前提を整理しやすくなります。
複数の方法で相場を確認する
ポータルサイト、REINS、国土交通省のデータ、不動産会社の査定など、複数の情報源を組み合わせて相場を把握しましょう。
査定の根拠と条件を比較
査定額だけでなく、参照事例と物件の評価理由を確認します。必要に応じて複数社へ相談し、説明や条件を比較しましょう。
売却タイミングを見極める
地域の取引状況に加え、住み替え、相続の手続き、ローン残債などご自身の事情を整理し、売り出しと引き渡しの時期を検討しましょう。
物件の第一印象を改善
清掃や資料整理で物件の状態を分かりやすく伝えます。大きな修繕・リフォームは、費用と売却条件への影響を相談してから判断しましょう。
信頼できる不動産会社を選ぶ
査定額だけでなく、担当者の対応や販売戦略の説明が丁寧な会社を選びましょう。
価格と他の条件を合わせて交渉する
価格だけでなく、引渡し日、修繕や測量の負担、諸費用・返済・税金を考慮した手取りを比べます。条件を確認し、納得できない点は契約前に相談しましょう。
比較の要点
価格情報は、時期・地域・物件条件を揃えて比較することが大切です。複数の資料と査定理由を確かめ、ご希望の時期や費用負担も含めて売却条件を検討しましょう。
価格の調べ方・制度説明の確認日:2026年9月26日。査定額や一般的な価格情報は成約価格を保証するものではありません。個別の契約・税務は専門家へご確認ください。
参考:国土交通省:不動産情報ライブラリの使い方、東日本レインズ:統計・取引情報に関するQ&A、東京都主税局:固定資産税・都市計画税のQ&A、国土交通省:中古戸建て住宅の建物評価の改善に向けた指針、国土交通省:不動産取引と仲介手数料、e-Gov 民法(562条〜572条等)。
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確認日:2026年9月27日。価格情報の対象と利用方法を確認しました。一般的な案内であり、個別物件の査定額や将来の価格を示すものではありません。


