④不動産相続

親のマンションを相続する際の流れと相続後の活用方法を解説

親が亡くなり、住んでいたマンションを相続することになったものの、何から手をつければ良いのか分からず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。マンションの相続は、預貯金などとは異なり、手続きが複雑で専門的な知識も必要になるため、戸惑うのは当然のことです。

しかし、手続きの流れや注意点を事前に把握しておくことで、スムーズに相続を進め、思わぬトラブルを回避することができます。

本記事では、親のマンションを相続する際の具体的な流れから、かかる税金、注意点、そして相続後の活用方法までを網羅的に解説します。

この記事を読めば、相続に関する全体像を理解し、ご自身の状況に合わせた最適な選択ができるようになるでしょう。

監修者
宮原海斗

宮原海斗株式会社Gen’Z 代表取締役

宅地建物取引士/相談診断士

横田大樹

横田大樹株式会社Gen’Z 専務執行役

宅地建物取引士/相談診断士

親のマンションを相続する際の流れ

親のマンションを相続する際の手続きは、一般的に以下の6つのステップで進みます。

特に相続税の申告・納付には期限が設けられているため、全体の流れを把握し、計画的に進めることが重要です。

STEP 1.遺言書の有無を確認する

まず最初に行うべきことは、亡くなった親(被相続人)が遺言書を遺しているかどうかを確認することです。遺言書がある場合、原則としてその内容に従って遺産分割が行われます。遺言書は、法的な効力を持つ「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

公正証書遺言であれば、公証役場で保管されているため、そちらに問い合わせることで有無を確認できます。自筆証書遺言や秘密証書遺言は、自宅の仏壇や金庫、貸金庫などに保管されているケースが多いです。

もし法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管されている場合は、全国の法務局で遺言書が保管されているかどうかの照会が可能です。

自筆証書遺言書を法務局以外で発見した場合は、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になります。検認とは、遺言書の偽造や変造を防ぐための手続きであり、封印された遺言書を勝手に開封すると5万円以下の過料に処せられる可能性があるため注意が必要です。

STEP 2.法定相続人を確認する

遺言書がない場合、または遺言書で指定されていない遺産がある場合は、法律で定められた相続人(法定相続人)全員で遺産分割協議を行う必要があります。そのため、誰が法定相続人になるのかを正確に確定させなければなりません。

法定相続人となれるのは、被相続人の配偶者、子、直系尊属(父母や祖父母)、兄弟姉妹です。相続には優先順位があり、常に相続人となる配偶者を除くと、第一順位が子、第二順位が直系尊属、第三順位が兄弟姉妹となります。
相続人を確定させるためには、被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)を取得する必要があります。

本籍地が複数回変わっている場合は、それぞれの市区町村役場で取得手続きを行うため、時間がかかることも想定しておきましょう。

STEP 3.遺産分割協議を行う

法定相続人が確定したら、次に相続人全員で遺産の分け方について話し合う「遺産分割協議」を行います。
マンションを含む全ての遺産について、誰が何をどのくらいの割合で相続するのかを決めます。

マンションの分割方法には、主に以下の4つの方法があります。

  1. 現物分割: 特定の相続人がマンションそのものを相続する方法です。
  2. 代償分割: 特定の相続人がマンションを相続する代わりに、他の相続人に対して代償金(現金など)を支払う方法です。
  3. 換価分割: マンションを売却して現金化し、その現金を相続人間で分割する方法です。
  4. 共有分割: 複数の相続人が持分を決めて、共同でマンションを所有する方法です。ただし、後々のトラブルに繋がりやすいため、慎重な判断が求められます。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が得られるまで続きます。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることになります。

STEP 4.遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議で相続人全員の合意が得られたら、その内容を証明するために「遺産分割協議書」を作成します。
遺産分割協議書は、後のトラブルを防ぐだけでなく、マンションの相続登記(名義変更)や預貯金の解約手続きなど、様々な場面で必要となる重要な書類です。

書式に決まりはありませんが、誰がどの財産を相続するのかを明確に記載し、相続人全員が署名し、実印を押印する必要があります。また、各相続人の印鑑証明書も添付します。

作成した遺産分割協議書は、相続人の人数分作成し、それぞれが1通ずつ保管するのが一般的です。

STEP 5.相続税の申告と納付を行う

相続する遺産の総額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告と納付が必要です。相続税の申告・納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。

基礎控除額は「3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」で計算されます。この金額を超えなければ、相続税の申告は不要です。

期限内に申告・納付ができなかった場合、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課される可能性があります。相続財産の調査や評価には時間がかかるため、早めに税理士などの専門家に相談し、準備を進めることが賢明です。

STEP 6.相続登記を行う

遺産分割協議がまとまり、マンションを相続する人が決まったら、法務局で「相続登記」を行います。相続登記とは、マンションの所有者の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きのことです。

これまで相続登記は任意でしたが、2024年4月1日から義務化されました。正当な理由なく相続登記を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があるため、忘れずに行いましょう。

相続登記は司法書士に依頼するのが一般的ですが、ご自身で手続きを行うことも可能です。

親のマンションの相続にかかる税金

親のマンションを相続する際には、主に「相続税」と「登録免許税」という2つの税金がかかります。それぞれの税金の概要と計算方法を理解しておくことが大切です。

相続税

相続税は、亡くなった人の財産を相続した際、その財産の価額が一定額(基礎控除額)を超える場合に課される税金です。マンションの相続税評価額は、一般的に市場価格よりも低く評価される傾向にあります。

【計算方法】
相続税の計算は、以下のステップで行われます。

  • 課税遺産総額の算出: 遺産総額(マンションの評価額+預貯金など)から基礎控除額「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」を差し引きます。
    課税遺産総額 = 遺産総額 – 基礎控除額
  • 相続税の総額の計算: 課税遺産総額を、法定相続分で分割したと仮定して各相続人の取得金額を計算し、それぞれに相続税率を掛けて税額を算出します。そして、それらを合計して相続税の総額を求めます。
  • 各相続人の納税額の計算: 算出した相続税の総額を、実際に財産を相続した割合に応じて按分し、各相続人が納める税額を決定します。

また、被相続人の自宅であったマンションを相続する場合には、「小規模宅地等の特例」が適用できる可能性があります。この特例が適用されると、土地の評価額を最大で80%減額できるため、相続税の負担を大幅に軽減できる場合があります。適用には一定の要件があるため、税理士に相談することをおすすめします。

関連記事:相続した土地は3年以内に売却するべき?節税方法や売却の注意点を徹底解説

登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権移転登記(名義変更)など、登記手続きを行う際に課される税金です。相続によってマンションの名義を変更する「相続登記」の際に、法務局へ納付します。

登録免許税の計算方法は非常にシンプルです。

登録免許税額 = 固定資産税評価額 × 税率

相続を原因とする所有権移転登記の場合、税率は0.4%です。例えば、マンションの固定資産税評価額が2,000万円の場合、登録免許税は「2,000万円 × 0.4% = 8万円」となります。

固定資産税評価額は、毎年市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されています。

親のマンションを相続する際の注意点

親のマンションを相続する際には、手続きをスムーズに進め、将来的なトラブルを避けるために、いくつか注意すべき点があります。

注意点①複数人での相続は避ける

遺産分割協議の結果、兄弟姉妹などでマンションを共有名義(共有分割)にすることは、避けるのが賢明です。共有名義の不動産は、売却や賃貸に出す際に、共有者全員の同意が必要となります。

将来、誰かが売却したいと考えても、他の共有者が反対すれば売却できません。また、共有者の誰かが亡くなると、その持分はさらにその人の相続人に引き継がれ、権利関係が複雑化してしまうリスクがあります。

特別な事情がない限り、代償分割や換価分割といった方法を活用し、単独名義で相続することを目指しましょう。

注意点②被相続人に遺言書を作成してもらう

相続トラブルの多くは、遺産の分割方法をめぐって発生します。親が元気なうちに、遺言書を作成してもらうことで、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます。

遺言書があれば、相続人はその内容に従うことになるため、遺産分割協議が不要となり、相続手続きがスムーズに進みます。

特に、相続人同士の関係があまり良好でない場合や、特定の相続人に多くの財産を遺したいと考えている場合には、遺言書の作成が極めて有効です。親子で相続について話し合う機会を持ち、遺言書の作成を検討してもらうと良いでしょう。

注意点③住宅ローンの残債を確認する

相続するマンションに、親が組んでいた住宅ローンが残っている場合があります。住宅ローンなどの債務も、相続財産として引き継がれることになります。これを「マイナスの財産」と呼びます。

相続が開始されたら、まず住宅ローンの契約書や返済予定表などを探し、残債がいくらあるのかを正確に把握しましょう。

多くの住宅ローンでは、契約者が亡くなった場合に残債が弁済される「団体信用生命保険(団信)」に加入しています。団信に加入していれば、保険金でローンが完済されるため、相続人が返済義務を負うことはありません。まずは団信への加入の有無を確認することが重要です。

もし団信に加入しておらず、多額のローンが残っている場合は、相続放棄を検討することも選択肢の一つです。

注意点④公共料金の名義変更も同時に行う

マンションを相続したら、電気、ガス、水道といった公共料金の名義変更手続きも忘れずに行いましょう。これらの契約は被相続人の名義のままになっているため、相続人の名義に変更するか、解約する必要があります。

特に、マンションを空き家にしておく場合でも、水道の契約は残しておくことをおすすめします。定期的な清掃や換気で訪れた際に水が使えますし、下水の臭いが上がってくるのを防ぐためにも、排水トラップに水を流す必要があるからです。

電話やインターネット回線の契約も同様に、名義変更または解約の手続きが必要です。

注意点⑤マンションの管理組合へ連絡する

マンションを相続したら、そのマンションの管理組合や管理会社へ連絡し、所有者が変更になった旨を届け出る必要があります。

管理費や修繕積立金は、相続人が支払義務を引き継ぐため、支払いの手続きについても確認が必要です。
連絡を怠ると、管理組合からの重要なお知らせが届かなかったり、管理費の督促状が前の住所に送られ続けたりといった問題が生じる可能性があります。

また、管理組合への連絡の際に、マンションの管理規約も確認しておくと良いでしょう。特に将来的に賃貸に出すことを考えている場合、規約によっては賃貸が制限されているケースもあるため、事前の確認が不可欠です。

注意点⑥空き家のまま放置しない

相続したマンションに誰も住む予定がない場合でも、空き家のまま長期間放置することは避けるべきです。空き家にしておいても、固定資産税や都市計画税、管理費、修繕積立金といった費用は継続的に発生します。

また、適切な管理が行われていないと、建物の劣化が進んだり、放火や不法侵入といった防犯上のリスクが高まったりします。近隣住民とのトラブルに発展する可能性も否定できません。

さらに、管理不全な状態が続くと、行政から「特定空家等」に指定され、固定資産税の優遇措置が受けられなくなったり、最終的には行政代執行によって解体され、その費用を請求されたりするリスクもあります。

相続後は速やかに、そのマンションをどう活用するのかを決定し、行動に移すことが重要です。

親のマンションを相続したあとの活用方法

親から相続したマンションは、大切な資産です。ご自身のライフプランやマンションの状況に合わせて、最適な活用方法を検討しましょう。主な活用方法としては、「住む」「貸す」「売る」の3つが挙げられます。

親のマンションに引っ越す

一つ目の選択肢は、相続したマンションに自分自身が住むことです。特に、現在の住まいが賃貸である場合や、より良い立地のマンションであれば、住み替えるメリットは大きいでしょう。

住居費を抑えられるだけでなく、親との思い出が詰まった家で暮らし続けることができるという精神的なメリットもあります。ただし、職場への通勤アクセスや、子どもの学区、周辺環境などを考慮し、今後のライフプランに合っているかを慎重に検討する必要があります。

また、リフォームやリノベーションが必要な場合は、その費用も見積もっておきましょう

賃貸経営を行う

二つ目の選択肢は、マンションを第三者に貸し出し、家賃収入を得るという活用方法です。不動産を所有し続けることで、安定した不労所得を得られる可能性があるのが大きな魅力です。

ただし、賃貸経営には空室リスクや家賃滞納リスクが伴います。また、入居者の募集や契約手続き、クレーム対応、建物のメンテナンスといった管理業務も発生します。これらの業務は不動産管理会社に委託することも可能ですが、その場合は管理委託手数料がかかります。

そのマンションの立地や築年数から、どのくらいの家賃設定が可能か、賃貸需要が見込めるかを事前にリサーチすることが成功の鍵となります。

売却する

三つ目の選択肢は、マンションを売却して現金化することです。マンションに住む予定も、賃貸に出す予定もない場合には、最も現実的な選択肢と言えるでしょう。

売却することで、固定資産税や管理費といった維持費の負担から解放され、まとまった現金を手に入れることができます。この現金は、他の資産の購入資金や老後の資金など、様々な用途に活用できます。

また、相続人で遺産を分ける「換価分割」を行う場合にも、売却は有効な手段です。

売却する際には、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる会社を選ぶことが、適正な価格でスムーズに売却するためのポイントです。

関連記事:不動産売却の流れは?必要書類やかかる費用を解説

親のマンション相続は計画的に行い専門家の力も借りよう

親のマンションを相続することは、多くの方にとって初めての経験であり、戸惑うことも多いでしょう。しかし、本記事で解説したように、相続の流れや税金、注意点を一つずつ理解し、計画的に進めていけば、決して難しい手続きではありません。

相続手続きには、遺言書の確認から始まり、相続人の確定、遺産分割協議、相続登記といったステップがあります。特に相続税の申告・納付は10ヶ月以内という期限があるため注意が必要です。また、相続後のトラブルを避けるためには、共有名義を避け、住宅ローンの残債を確認するなど、いくつかの重要なポイントがあります。

そして、相続したマンションを「住む」「貸す」「売る」の中からどのように活用するかは、ご自身のライフプランを大きく左右する重要な決断です。それぞれのメリット・デメリットを十分に比較検討し、ご自身にとって最適な選択をしてください。

もし手続きで不明な点があったり、判断に迷ったりした場合は、司法書士や税理士、不動産会社といった専門家に相談することをおすすめします。専門家の力を借りることで、よりスムーズで安心な相続を実現できるでしょう。

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