④不動産相続

土地相続をしたくない!相続放棄の方法を紹介

親御様から大切な資産を引き継ぐ「相続」は、家族の想いを受け継ぐ尊い出来事です。 しかし、その相続財産がもし、活用が難しい、あるいは管理に手間や費用がかかる「土地」であったとしたらどうでしょうか。

「遠方にあり全く利用する予定のない実家の土地をどうすれば良いのだろう…」 「固定資産税だけがかかり続ける価値のない土地は正直相続したくない」 「でも、相続を断ることなんてできるのだろうか?」

こうした、いわゆる「負動産」とも呼ばれる扱いに困る土地の相続は、今や日本全国で深刻な社会問題となっています。そして、それは決して他人事ではありません。

この記事では、そんな「土地を相続したくない」という切実な悩みを抱える皆様のために、不動産のプロフェッショナルとして、その悩みを解決するための具体的な方法とその選択肢について、詳しくそして分かりやすく解説していきます。

監修者
宮原海斗

宮原海斗株式会社Gen’Z 代表取締役

宅地建物取引士/相談診断士

横田大樹

横田大樹株式会社Gen’Z 専務執行役

宅地建物取引士/相談診断士

土地は相続放棄できるのか

結論から言うと、土地を含めた財産を相続しないことを選択する「相続放棄」という手続きは法律で認められています。

相続放棄とは、亡くなった方(被相続人)のプラスの財産(預貯金、不動産など)もマイナスの財産(借金など)も、その一切を初めから相続人でなかったことにして引き継がないという意思表示を、家庭裁判所に対して行う手続きのことです。これにより、固定資産税の支払い義務や土地の管理責任からも完全に解放されます。

ただし、そこには非常に重要な注意点があります。それは、相続放棄は財産を選り好みできないということです。「価値のある預貯金は相続するけれど、価値のない土地だけは放棄する」といった都合の良い選択は認められません。相続放棄を選択するということは、借金も含めた全ての財産を手放す決断をするということなのです。

関連記事:相続した土地を5年以内に売却するのは注意?その理由を解説

土地を相続するメリット

相続放棄を考える前に、一度冷静になって土地を相続することのメリットについても考えてみましょう。今は価値がないように思える土地も、見方を変えれば将来の可能性を秘めた大切な資産かもしれません。

メリット①資産が手に入る

最も基本的なメリットは、土地という形ある「資産」が手に入ることです。建物とは異なり、土地は経年によって物理的に劣化することはありません。インフレーションなどによって現金の実質的な価値が目減りするリスクがある中で、土地という「実物資産」を所有しておくことは、ご自身の資産ポートフォリオを安定させる上で有効な選択肢となり得ます。

メリット②土地を取得する際の費用が抑えられる

通常、土地を購入によって取得する際には、多額の購入代金に加えて不動産取得税や登記費用といった様々な諸費用がかかります。しかし相続によって土地を取得する場合、この不動産取得税は課税されません。 また、所有権をご自身に移すための登録免許税についても、売買の場合よりも低い税率に設定されています。このように、相続は他の方法に比べて非常に低いコストで、不動産という大きな資産を手に入れることができる貴重な機会なのです。

メリット③地価が上がる可能性がある

今は活用が難しく価値が低いように思える土地でも、将来その周辺環境が大きく変わる可能性はゼロではありません。 例えば、近くに新しい駅ができたり大規模な商業施設が開発されたり、あるいは都市計画が変更されたりすることで、その土地の利便性や需要が飛躍的に高まり、地価が何倍にも高騰するというケースも考えられます。 土地を所有するということは、そうした将来の資産価値の上昇という夢のある可能性を手にすることでもあるのです。

メリット④土地を有効活用できる

相続した土地は、ご自身のアイデア次第で様々な形で有効活用することができます。 ご自身のマイホームを建てるのはもちろんのこと、駐車場やトランクルームとして貸し出して毎月の安定した収益を得たり、あるいは太陽光発電パネルを設置して売電収入を得たりといった活用法もあります。

また、家庭菜園やガーデニングを楽しむ趣味のスペースとして活用するのも、暮らしを豊かにする素晴らしい選択肢といえるでしょう。

土地を相続するデメリット

一方で、多くの方が「相続したくない」と感じるのには、やはりそれ相応のデメリットやリスクが存在するからです。

デメリット①固定資産税が発生する

土地を相続し所有者となった瞬間から、その土地に対する「固定資産税」と、市街化区域内であれば「都市計画税」の納税義務が発生します。 たとえその土地を全く利用しておらず、何の収益も生み出していなくても、所有している限り毎年必ず支払い続けなければならないランニングコストです。 この税負担の重さが、価値のない土地を所有し続けることの最大のデメリットといえるでしょう。

関連記事:土地の相続に関する完全ガイド|手続き・費用・税金・注意点を徹底解説

デメリット②土地の立地や形状によっては、活用できない可能性がある

相続した土地があまりに辺鄙な場所にあったり、あるいは地形が急な傾斜地であったり、土地の形がいびつな不整形地であったりすると、家を建てることも貸し出すこともできず、全く「活用できない」という事態に陥ります。 いわゆる「負動産」と呼ばれるこうした土地は、売却しようにも買い手が見つからず、まさに「塩漬け」の状態となって固定資産税と管理の手間だけが重くのしかかってくることになります。

デメリット③定期的にメンテナンスする必要がある

相続した土地があまりに辺鄙な場所にあったり、あるいは地形が急な傾斜地であったり、土地の形がいびつな不整形地であったりすると、家を建てることも貸し出すこともできず、全く「活用できない」という事態に陥ります。 いわゆる「負動産」と呼ばれるこうした土地は、売却しようにも買い手が見つからず、まさに「塩漬け」の状態となって固定資産税と管理の手間だけが重くのしかかってくることになります。

デメリット④相続問題を先送りすることになる

もしご自身がその土地の相続を放棄した場合、その土地を相続する権利は次の順位の相続人へと移っていきます。 例えば、第一順位である子供が全員相続放棄をすれば、第二順位である亡くなった方の両親や祖父母へ。そしてその方々も放棄すれば、第三順位である兄弟姉妹へと、相続権が巡っていくのです。 ご自身が問題を回避したとしても、その「負動産」という厄介なバトンがご自身の親族へと渡っていく可能性があるということも、念頭に置いておく必要があります。

関連記事:不動産の相続はどこに相談すべき?相談先をケース別に紹介

土地を相続したくないときの処分方法

デメリットを考慮した上で、やはり「この土地は相続したくない」と決断した場合、どのような処分方法の選択肢があるのでしょうか。

相続放棄

最も根本的な解決策が「相続放棄」です。ご自身の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行うことで、初めから相続人でなかったとみなされ、土地の所有権も固定資産税の納税義務も一切承継することがありません。 ただし前述の通り、土地だけを選んで放棄することはできず、預貯金などのプラスの財産も全て手放す必要があります。また、相続の開始を知った時から「3ヶ月以内」という非常に短い申述期間が定められているため、決断は迅速に行わなければなりません。

売却

もし他のプラスの財産は手放したくないという場合は、一度土地を相続した上で、それを「売却」するのが最も一般的な方法です。 まずは不動産会社に査定を依頼し、その土地に少しでも金銭的な価値があるのかどうかを確認してみましょう。たとえわずかな金額であっても、売却できれば固定資産税や管理の負担から解放されます。 ただし、買い手が見つからなければ売却はできません。売却が難しい土地の場合は、次の方法を検討する必要があります。

自治体に寄付・売却

売却も難しいとなると、「自治体(市町村)に寄付できないか」と考える方もいるかもしれません。しかし結論から言うと、これは極めてハードルが高い方法です。 自治体も固定資産税を徴収できる私有地が減ることを望みませんし、管理コストのかかる不要な土地を引き受けたいとは考えていません。 その土地が公園や道路として公共の利用価値が非常に高いと判断されるような、ごく稀なケースを除き、寄付が受け入れられる可能性はほとんどないと考えて良いでしょう。

親が健在のうちに売却する

これは、相続が発生する「前」の最も理想的な解決策といえるかもしれません。 親御様がまだお元気で判断能力がしっかりしているうちに、将来誰も住む予定のない実家や活用が難しい土地について、ご家族で話し合い「生前売却」を進めるという方法です。 これにより、子供世代は将来の相続の負担から解放されますし、親御様も売却で得た資金をご自身の老後の生活資金や介護費用に充てることができます。 最もスムーズで円満な解決策の一つです。

相続土地国庫帰属制度を活用する

相続した不要な土地の新たな受け皿として、2023年4月27日からスタートしたのがこの「相続土地国庫帰属制度」です。 これは、相続によって取得した一定の要件を満たす土地を、国に引き取ってもらう(国庫に帰属させる)ことができる画期的な制度です。 相続放棄のように、他の財産を手放す必要はありません。 ただし、どのような土地でも無条件に引き取ってもらえるわけではなく、国が定めた厳しい審査基準をクリアする必要があります。また、承認された際には10年分の土地管理費に相当する「負担金」を国に納付する必要があります。

具体的には、以下のような管理が困難な土地は引き取ってもらえません。

  • 建物や工作物が存在する土地
  • 担保権や使用収益権が設定されている土地
  • 他人によって使用されている土地
  • 土壌汚染が存在する土地
  • 境界が明らかでない土地
  • 崖や擁壁があり、管理に過大な費用・労力がかかる土地

この制度はまだ始まったばかりですが、これまで行き場のなかった不要な土地の新たな出口として、大きな注目を集めています。

専門家の意見も聞きながら相続すべきか否かを検討しよう

今回は、「相続したくない土地」という多くの方が将来直面する可能性のある切実な問題について、その背景から具体的な対処法まで詳しく解説しました。

土地の相続は、単なる財産の問題ではありません。そこにはご家族の歴史や想い、そして時には複雑な人間関係も絡んできます。 だからこそ、一人で抱え込まず、法律や不動産の専門家の力を積極的に借りることが重要です。

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